帰って来た【俺】の物語。魔王という名の戦略兵器。
総理官邸に到着するとSPたちや警察官たちに囲まれる。皆殺気だった目をしているがどうと言うことはない。
魔王と言えど16歳の高校生、そう侮ったのだろうか。ただ俺としては死と隣り合わせの日々を3年以上過ごしてきた。怖いのは魔物だけではない。いちばん恐ろしいのは人間の中に潜む「嫉妬」であるということを思い知って来たのだ。
本当の味方、終生の友なんてものは居ない。皆、現時点で利に適えば友、そうでなければ敵だ。それが俺が異世界で学んで来たことだ。自分が生き延びるために。
総理大臣「
俺は自分が魔王であることをどうやって知ったのかを尋ねる。アメリカが身柄を要求したのならアメリカの誰かということになる。
「アメリカの5大財閥を知ってる?ロックフォード、ミリガン、ミューロン、リュパン、ヴァンダムの5つだ。彼らには共通点が有ってね。キミと同じく、創始者が異世界人か、異世界から帰ってきた勇者なんだ。だからそう言う情報はすぐに手に入るんだそうだ。そして、キミがいかに強力で危険な存在かを知っている。ただ、私はキミをアメリカに渡したいとは思わない。」
これは驚きだった。世界を支配するアメリカを裏から操る連中が黒幕とは些か話が大きすぎる。アメリカの金融、資源、インフラ、軍需、基幹産業を資本で支配するまさに世界の王家だ。
「その見返りに俺に何を求めるつもりですか?」
総理は俺の問いにとびきり野心的な笑みを浮かべる。
「我が国の戦略兵器になってもらいたい。そう、生きた核兵器だよ。」
うーん。そう来たか。ちなみに報酬はどれくらいで。
「年間50億円、どうですか?」
安いな。悪いが俺はすでに死んでいるので「日本国籍」は無い。だからこちらから条件をつける。報酬は年間1000億円。都内に「大使館」を用意すること。日本の法治下にいないことを認めること。
すると総理の顔が蒼ざめる。
「あ、そうですか。文句があれば他の国と契約しますよ。アメリカなら1兆円くらいは出すでしょうし、中国ならさらにその3倍は払うでしょうね。」
俺が
「わかった。しかし、キミにそれだけの価値があるかどうやって判断したらいいのかな?」
じゃあ3日後、またここに来ますよ。お土産を持ってね。
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