転生した【俺】の物語。冒険の始まり。

  俺たちは全員「チート」スキル持ちである。無論、それ以外のスキルは成長するのだが、チートスキルは必要に応じて順次「開放」されていくシステムである。


早速俺たちは王宮に乗り込んだのだが速攻で追い返されてしまった。そりゃそうだ。どこの馬の骨とも知れない若造が五人でやって来ていきなり国王に会わせろなんて非常識どころか単なる基地外である。ただ報告を受けたのか、俺たちの泊まっている宿屋にお姫様がお忍びでやって来た。


「私が皆さんを召喚したリリアーナと申します。」

姫はとんでもない美少女だった。彼女は第一王女で召喚師なんだそうだ。前勇者の活躍により、70年ほど平和な時代が続いたが、再び異世界から魔王が降臨して城を築き、配下の魔族が国を荒らしているのだという。それで彼女が中心になり、俺たちを召喚したというのだ。


「次元の壁を超えた生命には神からの賜物ギフトとして強大な力が下賜されるのです。ですから、次元を超えて強力になった魔王に対抗するには、あなた方のように次元を超えて来た存在が必要なのです。」


王女の最初の依頼は王都近郊のダンジョンに住み着いた竜女メリジューヌを退治し、その首を持ち帰ることだった。そうすれば王以下全ての貴族から平民に至るまであなたたちを勇者と認めるだろう、ということだったのだ。


名刺がわりの魔物退治か。俺たちは喜び勇んでダンジョンにトライしたが、道に迷ってしまったのだ。トニーの錬成のおかげで水とモンスターの身体から作った三大栄養素サプリでなんとか凌いでいた。


「ジャスティン、ゲート魔法で帰ろうぜ、一旦。」

「すまん。あるにはあるんだが、『まだ開放できません』、だってさ。」

ため息しか出ない一行。だが、時々出る宝箱から出る素材で装備を強化しながら探索を進める。


「わりいわりぃ。MP切れたわ。」

トニーのMPが先に尽きる。そりゃ一番活躍していたのはトニーだからな。今日もここで野宿か。健介に結界を張らせ、思い思いの場所に寝具を広げる。ああ、腹減ったなあ。


「あの⋯⋯」

誰かが声をかけた。

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