第3話 遭遇。
"ダンジョン"
それは、ある一定の場所に魔素が溜まり出来る迷宮のことだ。
出来る場所やダンジョンの階層は周囲の影響を受けると言われているが、未だ未解明だ。
一度ひとたびダンジョン内に入れば、そこからは魔物モンスターの住処になる。
モンスターは下の階層に行けば行くほど強くなり、未踏の階層には金銀財宝がーーなんて事もある。
そんな理由もあって、ある程度の実力をつけた冒険者はこぞってダンジョンに潜る。
俺たちがこれから潜るミレーヌの街のダンジョンは森の洞窟にできたもので、モンスターは主にゴブリンやウルフだ。
***
キィンッ、キィンッ、とダンジョン内に金属のぶつかり合う音が響く。
「レオ! 1匹行ったぞ!ヘマすんじゃねぇぞ!」
スワンが叫ぶ。
パーティメンバー+自分の荷物を持ちながら取り逃がしたゴブリンを狩る。
くっそ重てぇ……
「おっ……らぁっ!!」
俺は刃毀れを悪化させないためにもゴブリンの喉元を突き技で仕留める。
「ガ……ギュ……」
鈍い悲鳴を上げ、ゴブリンは絶命する。
スワンは最後の1匹が討伐されたのを確認して指示を出す。
「うっし、次はまだ未踏破の15階層だ! 気合い入れてけよテメェらぁ!!」
「おぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
気合い入れか、単なるアホか。
おそらく後者だろうが、そんなに叫ぶとモンスターが寄ってくるのでやめてほしい。
「おい、レオ」
そんなことを考えていると、スワンに呼ばれ1番先頭に歩かされる。
「ここからは何があるかわからねぇからな。お前には囮になってもらうぜ」
「は、はは……」
もう笑うことしかできない。
未踏破の階層は出現するモンスターも分からなければダンジョン内のマッピングも無い。
つまり、一瞬の油断が死に直結する。
俺は、剣を構えながらゆっくりと歩みを進める。
ここでは無い、他のダンジョンでは魔物だけでなくトラップの様なものもあると聞く。
俺は細心の注意を払いながら一歩一歩進むが……
「ちっ……遅せぇんだよノロマ! さっさと進め!」
痺れを切らしたスワンが突然、俺を背後から蹴り飛ばす。
蹴り飛ばされたのはダンジョンの突き当たり。俺はその場に倒れこんだ。
そして、視線をあげる。
「……なんで……どうしてここに……」
俺は目の前の光景が信じられず、ただ立ち尽くすだけ。
「あ?」
俺の様子を不審に思ったスワンたちが俺の場所まで駆け寄る。
そして、対峙する。
「な……なんでこんな階層ばしょにオーガがいるんだよ!!!!」
俺たちが遭遇したのは鋭い爪と固い皮膚を持ち、1匹で街を壊滅させると言われるBランク指定モンスター。
オーガだ。
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