第18話~Cafe こもれびのマスター~

 蜂蜜色の空と蒼

『35話』

 広夢の葬儀は生まれ故郷ではなくて、この都会で行われた、家族と俺たち仲間たちだけの小さな葬儀は人気者だった広夢には似合わないと思った。


 でも愛してる人達だけに見送られて幸せに思っているはずだと広夢の父は言った、

 いやそう思いたかったのだろう。


 あの日、広夢は蒼と別れた後にどこに向かっていたのか海沿いの街を走っている時に事故を起こした、たった1人で大きな木にぶつかって飛ばされた。


 静かに形だけの葬儀は行われた。

 次の日に火葬場へは皆んな揃って向かった。


 病院で変わり果てた広夢を見た時も蒼は泣かなかった。

 しかし、広夢の全てが焼かれるその瞬間は走馬灯のように流れるたくさんの思い出に耐えられなくなった。

 子どものように大声を出して泣いた。

 

 はるは蒼の身体を抱きしめた。


「蒼のせいなんかじゃないよ、絶対に違うよ…」

 泣き続ける蒼にはるは優しく語った。

 そしてそれはそこにいる誰もが思っていることだった。

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《応援コメント》

 人の死は悲しいですね。

 残された家族や友達が悲しみに囚われてしまわないといいですね。


《返信コメント》

 そうなんですよね、でも蒼は囚われてしまったんですよね…悲しいことに


 応援いつもありがとうございます。


 苦しみながら書いているのは辛くなります。


 物語なのに…


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 Cafeこもれびで楽しい時間を過ごした時に、蓮は大切な友達広夢の話はしなかったし、 真理亜も聞かなかった。


 きっとそれで良かったのだと思う…今はまだきっと…


 それからも蓮は物語を書き続けて投稿していた。

 その全てを真理亜は受け止めてコメントを書いていた。


 Cafeこもれびには時々1人で行った


 そんな日はカウンターに座り、

髭のマスターと時間を忘れるくらい話した。

 音楽の話、テレビのニュースの話、自分の子どもの頃の悲しい話など、 不思議と何でも話せてしまうのはマスターの柔らかな笑顔のせいなのだろう。


 マスターの自宅は店から10分くらいの場所にある小さな一軒家だった。

 閉店後にマスターと歩くのは楽しかった。


 自転車を押しながら歩く真理亜のそばを歩きながら、マスターはたくさんの昔話をしてくれた。初めてのデートのこと、初めてのキスのこと。


 ある日マスターは別れぎわに言った「蓮くんと真理亜ちゃんはお似合いだと思うよ、僕とマキさんみたいにね」


 優しいその笑顔は真理亜にとっての救いのように思われた。



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