第12話~満月の夜に~
『第30話』
広夢が死んだ
1人暮らしの部屋で、その日学んだ事についてのレポートを出さなくては行けなかった。
「分子生物学概論について」
文字を入力しただけで頭が痛くなる、小説だったら文字を打つ手も軽やかなのにとひとりごちていると、はるからの着信があった。
別々の道を歩き出してどのくらいたつのだろうか?
「久しぶり、はる、どうした?」
「広夢が……死んだって…」
「広夢とは今日久しぶりに飯食ったとこだぞ
数時間前の話だし、何言ってんだよ」
「蒼…本当なんだ…」
それから何を聞いたのかさえ覚えていない、身近な人が死ぬのは2回目だ…母親と広夢
信じられないけど聞かされた病院に駆けつけた…
ベッドに横たわる広夢の顔は俺の知らない顔をしていた
青白い顔は俺の知ってる広夢じゃない
都内の音大に通う沙羅が枕元に座っていた。
「はると綾音は明日にしか来れないって、広夢のご両親と妹さんはこっちに向かってるって…」
綾音が広夢のことを好きだということは、皆知っていた、そして広夢が綾音を振ったことも仲間たちは気づいていた。
「綾音…今でも広夢のことが好きで彼氏も作ってないんだ…きっとつらいと思う」
俺のせいだ…ぜったいに俺のせいなんだ…
叫ぶ俺の肩を沙羅は優しく抱きしめた。
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有名な小説家の方が物語を書く時に、登場人物の気持ちになって書くから楽しい物語は笑いながら、悲しい物語は泣きながら書いている。
という文を読んだ事がある
魂を削りながら書かれた物語は人々の心に響くし、記憶に残る
蓮のこの文章を読んで
泣きながら書いたのではないかと感じた。
それほどまでに悲しみが伝わってきて心にささった。
その日のコメントにそのままの気持ちを書いた
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《応援コメント》
読んでいるだけで、悲しくなりました。
もしかしたら泣きながら書いたのかなと思える程に悲しみが伝わって来ました。
残された人は辛いですよね、それでも生きて行かなければならないのだから…
《返信コメント》
応援ありがとうございます。
泣きながら書いた…
そんな風に言って貰えてなんだかふわふわしました…なぜだろう
そしていつまで経っても越えられない痛みもありますよね。
これからもよろしくお願いします
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ベッドに入ってもう一度読み返した。
きっと蒼君はこの物語の中でも、現実の世界でも悩み続けているのだろうなと思った。
そのくらい感情のこもった作品だった。
その時コメント欄に追記があることに気がついた。
追記
いつかまた、満月の夜に会えるといいなと思います
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