第10話~続いていた物語~

 1度だけ

 あの踏み切りに行ったことがある


 そこに誰かの姿が見えないことにホッとする為だったのかもしれない


 その帰り道にあの夜行ったカフェ"こもれび"に立ち寄った。


「こんばんわ、今夜はおひとりですか?」

 髭のマスターはあの時と同じような笑顔で声を掛けてきた。


「オムライスにしますか?」


「あっ、今日はもう晩御飯食べてきたので飲み物だけお願いします、ホットコーヒーお願いします」

「1人で食べるご飯ほど寂しいものはありませんからね、とびきり美味しいコーヒー入れてきますね」


 1度きりしか来ていないのに覚えていてくれたのだと、少し嬉しい気持ちになった。


 届けられたコーヒーは香りがよく苦味も効いた真理亜の好きなタイプの味だった。


「美味しい」


 窓の外に見えるのは半分だけのお月さま

 残りの半分を探しているみたいだなんて思っている自分に戸惑う


 ___________________

 

あの日、自分の部屋に戻った真理亜はすぐにカクヨムを開いた。


「蜂蜜色の空と蒼」

 蓮の描く青春の物語は続いていた、

 眩しく煌めく星のように美しく…


 物語の内容は蒼とはるがお互いに大切なひとなのだと気づいているのに、友達との関係を壊すのが怖くて、思いを伝えることなく受験を迎えるせつない展開になっていた。

 ひろそうに対する気持ちを伝えられないことに苦悩する姿さえ優しい言葉で綴る蓮の心の中にも、秘めたものがあるのかとも感じた。


 さっそく応援コメントを書いた。

《 応援コメント》

 投稿されるのをお待ちしておりました。

 更新ありがとうございます。

 蒼くんとはるちゃんのお互いを思う気持ちがせつないですね。

 しばらく更新されていなかったので心配していましたが、こうして物語の続きを書いて下さりありがとうございます。


 投稿のボタンを押すのがこんなにドキドキするとは思わなかった。



 返信のコメントはすぐに届いた。


《返信コメント》

 応援ありがとうございます。

 しばらく続きをかけなくてごめんなさい。

 頭の中で思い描いているものをいざ書き出すも、思い通り書けてなくて何度も書き直しているうちに3ヶ月もたってしまいました。


 物語を完結させるまでがんばります。

 応援していてくださいね。



 蓮の寂しげな眼差しを思い出しながら

 真理亜は窓を開け空を眺めた…




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