第2話~カフェ"こもれび"
この近くに住んでいるのか小さな路地へと入っていく後ろについていくと…隠れ家風なカフェが現れた
真理亜も近くに住んでいるのに気づかない場所にある、そのカフェは外観は古い日本家屋だった。
外には多肉植物やサボテンがたくさん置かれ、アイビーがびっしりと隙間もないくらい壁を覆っていた。
店の名前は[Cafe こもれび]
昔ながらの懐かしい引戸を開けるとアンティークの家具がたくさんあり独特な雰囲気を
店内をきょろきょろ見回す私に蓮は声をかける
「ここってさ、オムライスがめちゃくちゃ美味いんだよそれでいい?」
「はい、それがいいです」
窓際のソファー席に座った彼は店員さんに「超美味いオムライス二つとアイスコーヒー…マリアさまは何にする?」
「マリアさまはやめて下さいよ」
「私はアイスカフェオレお願いします」
店員が遠ざかり少しの沈黙のあと
「どうして死のうと思ったの?」
それはこっちが聞きたいことだよ
「町田さんこそ、どうして?こんな月の綺麗な日に」
「月が綺麗?そうだったっけ?…蓮でいいよ」
『満月の夜に狼男になり損ねたからかな?』
「それって…満月なの知ってるじゃないですか」
「バレたか!?」
屈託のない笑顔で笑う蓮の顔を見た
整った顔立ちと大きいけど涼しげな瞳
いわゆる塩顔イケメンだった。
「俺が話したらマリアさまも話してくれるの?」
「だから…マリアさまは止めて下さい、その呼びかたするなら話しませんよ」
「わかったよ、真理亜ちゃんでいい?」
名前を呼ばれてドキリとした
昨日まで恋人がいた、週に2~3回は会っていたし、結婚すら考えていたのだけど、昨日の夜街角で知らない女の子と仲良さそうに手を繋ぎ歩いているところを目撃したのだ、いつものようにLINEでメッセージを送ると
すぐに返信が届いた
「まいったよ、今日、急に仕事入ってさ残業なんだよごめんね」
そんなこと嘘だってバレバレじゃん
その足で行きなれた彼の部屋に向かった、お揃いカップやお茶碗、歯ブラシ、部屋着思いつく限りの自分の匂いのするものを抱えて飛び出した。
鍵を閉めてそのまま郵便受けにそっと入れた。
この間までの蒸し暑い夜ではなく、涼しい風が吹く見慣れた光景から逃げ出した。
*
(後から聞いた店名の由来は木漏れ日を英語で店名にしようと思ったらそれに匹敵する言葉がなく、日本人ならではの表現だとわかりそのまま店名になった)
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