コンビニ裏の幽霊

 コンビニの裏には幽霊が棲んでいる。知っているのはあたしだけ。

 灰色のビル群が狼煙のように空へ突き立っているのを見ながら、天にまします神様が悠々と翼を広げるとき、うっかりあのどれかの先端へ引っ掛けてしまえばいいと思う。地面に落ちた神様へ優しく手を差し伸べれば、神様はあたしを見初めて不平等な幸せをくれるべきだ。そんなことを考えていたらどこかで飛行機が落っこちたとニュースが言うので、あたしのせいじゃないよと呟いた。

 あたしは暗く湿った壁にもたれて抱えていた膝をほどいて立ち上がり、幽霊と手を繋いで家に帰る。コンビニの上には賃貸が幾つか入っていて、うちはちょうどコンビニの真上の最上階だった。

 半年前、双子の姉はこの屋上から飛び降りた。人気の少ないコンビニ裏の発見は遅く、雨も降ったので、姉の脳味噌は半分ほどが排水溝に流れてしまった。この町の鼠のいくつかは姉の脳味噌を齧って生きていた。

 附記として、あたしは一年前にコンビニの駐車場でトラックに轢かれてぺちゃんこになった。脳足りんのあたしたちは、今日もあたしたちの頭蓋骨みたいにすかすかの部屋へ仲良く帰るのだ。

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