第十一詩 宵音
雨の降る夜。
暑くも寒くもない、寝ぼけた空気。
針は短針が1時を周り私はコーヒーをまた淹れる。
風と雨の音に身を委ねながらふと、レコード盤で90年代のジャズを流した。
気だるげなサックスの音と陽気なトランペットの音。
跳ねるピアノはまるでそこにいるかのような空気に変わり、そしてそこにかすかに聞こえるノイズで音楽が完成される。
そこに紙の擦れた音を出す。こんな夜には名もなき詩を読む。
かたかたかた
どこからともなく聞こえるリズミカルの音は私の足から。
雨と風とジャズとノイズ。そして紙と足。
幾許の時間が経ったか。
アンニュイな気持ちを音楽に変えていたらコップにはもうわずかのコーヒーと、軽くなった左手が残された。
ぐっとコーヒーを飲み干す。
ぱっと本を閉じる。
短針は3時を過ぎた。
一息ついたらおやすみなさい。
奏者は自然と君と私とこの詩でお送りしました。
眠り草詩集 湊 蒔彩(みなと しあ) @sia_mas
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