第3話 フウテンのうんこ

 僕ははぐったりと力なく、スライムのように地面に寝そべりました。

 このままではそのうち、からからに干からびてしまいます。僕の命は風前の灯火です。

 

 すると何処からともなく僕の前に現れた一人の旅うんこ。

「おや?お兄いさん、そんな所でどうしなすった。ずいぶん具合が悪そうだ」

「はい、これこれしかじかで、こんな姿になりました。僕はジャックと申します」

「あ、これは丁寧なごあいさつを」

 

 旅うんこは僕にサッと手を出してひかえました。

「手前、生国は厠でござんす。厠といってもいろいろござんす。色は白くて食いつきたいが、あたしゃ入れ歯で歯が立たん、の豆腐屋の厠でござんす。

 けっこう毛だらけ猫はいだらけ、お尻の周りは糞だらけ!フウテンうんことはっします」

「あ、これはまたご丁寧なごあいさつ恐れいります。ですが僕はもう長くありません。さようなら、フウテンうんこさん」

「何を言ってるんだ、いい若いもんが。この先の肥溜め病院まで俺が連れてってやるよ。傷は浅い、しっかりしろ」


 僕はフウテンうんこの小父さんにおぶってもらい、肥溜め病院に連れて行ってもらいました。

「さあ、この肥溜めに入りなせい。すぐに元気になるってもんだい!」

「ありがとうございます、フウテンうんこさん。このご恩は終生忘れるものではありません」

「何だよ水臭い。うんこはうんこ同士、あいみたがいというじゃないか。それがうんこってもんさ」

「ありがとう、フウテンうんこさん」

 僕はうんこの情けをしり、涙がこぼれました。


 こうして僕は九死に一生をとりとめました。

 

 

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