一周回ってる言葉

「よぅ、この間ぶりだな。あいつらは元気にやってるか?」


「えぇ、元気にやってますよ」


レグディスたちの上司に当たるクラン、探求者のトップであるエスエールさんに情報を伝えると、呑まないかと誘われ……明らかにお高そうな店に案内された。


因みに今回の食事に、メリルたちはいない。留守番である。


「あいつらは……強くなれそうか?」


「初対面の時は敵意というか、なんで俺らがわざわざ歳下の、自分たちよりも歴が短いハンターに守られて指導されなきゃならないんだって顔はしてましたけど、実力の差を模擬戦で示したら、直ぐに態度を改めてくれましたね」


「はっはっは!!! やっぱりそうなっちまたか。悪いな、血気盛んな奴らで」


「ハンターの若い頃なんて、基本的にそんなものじゃないですか? それに、レグディスにはあぁいった態度を取るぐらいの実力はありましたし」


エスエールの前だからという訳ではなく、本当に感じたままの感想だ。


あの実力で、二十代前後……あっ、エルフであるファールナは別か。

…………止めとこう。あまり心の中であっても、ツッコまないでおこう。


「クランのトップとしては、そう言ってくれんのは嬉しいけど……はは、やっぱあれだな。お前は精神年齢が見た目よりプラス二十ぐらいあるな」


「ぷ、プラス二十ですか。さすがにそこまで老けてないとは思うんですけど」


「いやいやいや、さっきのセリフは完全に俺らと同じ域に達してる奴のセリフだぜ」


別にそんな事は……って、否定しても納得してくれなさそうだな。


「俺、一応両親が元ハンターなんで、色々と話は聞いてるんですよ」


「そういえばそうだったな……まっ、それでも色々と疑問は残るが、今はどうでも良いか。そんで、手紙に書いてあった地中に何かがあるかもしれないってのは、マジなのか?」


「以前、ルーフェイスはモンスターたちが良く集まる池の奥底に、何があるのかを感じ取りました」


「その奥底にあった物が、ユニコーンの骨だったってやつだな…………お前の従魔のルーフェイスってのは、狼竜だったな」


「えぇ、その通りです」


「…………そうだな。そのレベルのモンスターの感覚なら、信用出来るか。でもそうなると……他の地域ならともかく、この未開拓地エリアで見つかったってなると、やっぱり神殿か遺跡、そういうのが関わってそうか?」


「ルーフェイスが地下深くに感じたと真上まで移動したわけではないですけど、その可能性が高いかと」


自然死したユニコーン、もしくはそれぐらい存在感がある生物が時間経過と共に、死体が地下深くに…………なるものか?


そういうの、詳しくないけど……一応可能性はゼロとは言えない。

でも、場所が場所だから地下深くに眠る遺跡があったとしてもおかしくない。


「地中にある遺跡、か……こぇな」


「全体図が全く解らないから、ですか」


「そうだ。良く解ってるじゃねぇか。マッピングが上手い奴がいれば、外から見て自分たちがいま、大体ここら辺にいるってのが解るんだが、全体図が見えないとそれが怖いんだよ」


そういうものなのか。


新しく発見されたダンジョンを探索する感じに近いのかな。


「あとよ、地上にある遺跡とかなら、最悪ヤバいと思ったら全力で壁をぶん殴って蹴り砕いて、無理矢理外に出て逃げられるだろ」


「それはそうかもしれませんけど……それ、バレたら色々と言われませんか?」


「学者連中はぶつくさ言うだろうけど、そんなの俺らハンターからすれば、知ったこっちゃねぇだろ」


あっ…………多分、実際にやった事あるんだろうな。


「んでよ、お前の従魔のルーフェイスは、感じ取ったあれがユニコーンの骨の時と似てるって言っただけで、完璧に同じとは言わなかったんだろ」


「そうですね。存在感は似てるらしいですけど、完璧に同じとは言いませんでした。それなりに距離があって、断定できなかった可能性もありますけど」


「それも捨てきれねぇが……へっへっへ、全体図が見えねぇのは文句を言いたいところがだが、熱くなるじゃねぇか」


ハンターの、探索者の血が燃え滾ってる感じだな~~。


まぁ、正直俺も気にならないっちゃ、嘘になるな。

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