人間社会と同じ?

「よぅ、おはよう」


「おぅ」


翌日、特にギルドで依頼を受けず、未開拓方面の門前に集合。


今日から本番って感じだ、最初から飛ばさずじっくり探索していく。

対人戦じゃなくて、モンスターを相手にレグディスたちがどう戦うかも見ておきたいしな。


「……なぁ、お前の従魔って……」


「ルーフェイスがどうかしたか?」


「いや、とんでもなく強ぇよなって思ってよ」


「はは、さすがに解るか。レグディスの言う通り、ルーフェイスが超強ぇぞ。ぶっちゃけ、お前らの探索時にルーフェイスが付いて行くだけで、何かイレギュラーが起こっても問題無く解決出来る」


そりゃ俺たちが必要な場面とかはあるかもしれないけど、物理的に解決出来るイレギュラーであれば、間違いなくルーフェイスだけで事足りる。


「だからって、あんまりルーフェイスの力だけに頼ってられないんだけどな」


「~~~~~♪」


「ふふ。それじゃあ、行くとするか」


本当に今日はレグディスたちの対モンスター戦の戦い方を見るのがメインだから、まだ色々と解ってない場所までは潜らない。


シュラとかは超退屈かもしれないけど、実質エスエールさんから頼まれた依頼は、護衛依頼みたいなものだから、仕方ないっちゃ仕方ない。


「にしても従魔、か……どうやって手に入れたんだ」


「本当に偶々偶然だ。テイマーの才能があるって訳でもないだろうからな」


何か隠したいことがある訳じゃない。

けど、モンスターがモンスターに襲われている場面に遭遇するのは簡単じゃない。


仮にそういった場面に遭遇したとして、襲われている方を助けたとしても、やっぱりそこは人間とモンスター。

助けられたからといって、人間に懐く保証はない。


「こんな強いモンスターを従えていて、偶然か……羨ましいもんだぜ」


ふふ、まぁそう思うのが当然だろうな。


ルーフェイスぐらい大きければ、背中に数人乗って移動できる。

そこまで大きくなくとも、主人を乗せて速く……長時間移動できる。


大型の鳥系モンスターであれば、背に乗って飛ぶことも出来るからな……それはそれでロマンがあるってもんだ。


「なら、今後の課題の一つにしてみたらどうだ? 別に才能が無くても、モンスターとの間に絆が生まれるかどうかは、その時次第でもあるだろう」


「モンスターとの絆か…………高圧的な態度で従えるってんじゃあ、駄目なんだろ」


「恐怖で支配するのは、あまり良くないかもな。そういう割り切りはある意味で大切なのかもしれないけど、レグディスは純粋なテイマーってわけじゃないだろ」


個人的に好きなやり方ではないが、テイマーの冒険者が生き残る為には、必要なやり方の一つであるのは否定出来ない。


けど、そういうやり方だといざって時に、力になってくれない可能性がある筈だ。


「当たり前だろ。従魔ができたからって、前に出るのは止めねぇ」


「なら、尚更信頼関係があった方が良い。それがないと、いざという時に裏切られてもおかしくない」


「……人間と一緒か」


「ん? あぁ、まぁ…………そうかもな」


うん、そうだな。

レグディスの言う通り、人間社会にも同じ様なことは起こってるだろうな。


信頼関係が無ければ、上がミスすれば蹴落として登るチャンス。

下がミスすれば、トカゲのしっぽ切りの様にあっさり見捨てる。


つっても、前世で社会人を経験してない俺は詳しく解らねぇから、あんまりそういった部分に関しては、偉そうに言えないな。


「そういう訳だから、そっち方面に関してはアドバイスは出来ない。ただ、強いて言うなら……自分の直感を信じる、そんで相手に対等な目線で語り掛ける。それぐらいか」


「メンタル的な要素が重要ってことか? 気合いや根性が大好きだからな。いずれ試してみるか」


……その度胸は買うけど、なんかとりあえず一回は失敗しそうだな。


っと、ようやく最初のお客さんが来たみたいだな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る