なんとなく解る恐ろしさ
「……世の中のメイドとか執事が全員お前らみたいに強いわけじゃねぇんだな」
「護衛の騎士とかならともかく、メイドや執事に就いている人なら、そうなんじゃないか?」
他の家の事情とかはよく解らないけど、学園の令息や令嬢に同行している執事やメイド以外は割と普通だよな?
というか、学園に令息や令嬢と同行していた従者たちも、シュラやメリル程強い奴はいなかったし……多分、ライバル的な存在もいなかったよな。
「まっ、俺やセルシアが普通じゃない生活とか送ってただけだから、何で今そんなに強いんだってのは、そんなに気にしなくて良いんじゃないか? 一つの目安として、あんたらには未開拓の地を平然と探索できるぐらい強くなるってのがあるだろ」
「そいつはそうだな」
体の成長期は止まっても、これからも戦い続けて殻を破って上のステージに上がっていけば、更に身体能力や魔力量も増加する。
そりゃいつかは限界が来るだろうけど、今のところ既に限界が来てるようには全く視えない。
「別に今俺たちに負けたこととか、特に気にしなくても良いと思う。それに俺ら、ずっとここを拠点に活動する訳でもないからな」
「そうなのか?」
「あぁ、そうだよ。ある程度ここでの活動を楽しんだら、他の地域に移動するつもりだ」
タコキメラの……ゲーデルガンブ帝国との一件があるから、国外には出られないけど、この未開拓の地以外にも冒険する価値がある場所はあるからな。
「……それ、ギルドが許すのか?」
「??? さぁ、どうなんだろうな。ハンターギルドは諸々の未知が解明するまで俺たちをここに留めておきたいのかもしれないけど、さすがにそんな事したら……なぁ、メリル」
「そうですね。一先ず、カルパのギルドマスターのトップが入れ替わるでしょう」
「「「「っ!!??」」」」
「おいおい、何驚いてるんだ? セルシアは公爵家の令嬢だぞ」
令嬢の中でもミステリアス感が強めだから、もしかして忘れてたか?
「そ、そうだった……ですね」
「……口調、変えなくて、良い、よ」
「え、いや……え、えっと」
まぁ、そういう反応になるよな。
ハンター業だけに集中してると、貴族の爵位とか言われてもどこがどう偉いのか解んねぇよッ!!!! ってなるだろうけど、公爵家はなんとなく王家と同じぐらいヤバい、偉いって気付くんだろうな。
「本人が良いって言ってるんだから、良いんじゃないか」
「そ、それなら」
「つっても、公爵家の令嬢だからって、普段から権力使って無茶苦茶してる訳じゃねぇど。というか……ぶっちゃけ、まだ俺たち実家の力を借りてあれこれしたことはねぇよな?」
「多分、ない……と思う」
だよな~~。
面倒な大人たちこそ権力に敏感だし、もしもという最悪の事態を想定してくれてるんだろうな。
「そういう事だ。変に俺らを気にし続ける必要はないんだよ」
「っ、そうか…………悪ぃな。最初態度悪くてよ」
「別に気にしてないよ。多分そうだろうなって予想してたし」
「うぐっ、それはそれで恥ずかしいんだが……にしても、お前ら本当に俺らより歳下なのか?」
「あぁ、そうだな。この前学園を卒業したばかりで、十六の年だな」
「……貴族連中には、割とお前らみてぇにこう、大人の対応? ってやつが出来るのが多いのか?」
大人の対応? 怠い絡まれ方をした記憶ならあるけど…………そういえば、苦難惨劇に対して大人の対応をした友人ならいたな。
でも、それ以外で大人の対応が出来てた奴はあんまりイメージがないというか……リース会長とかはザ・歳上の女性って感じでしっかりして気がするけど、それは歳上だから当たり前っちゃ当たり前かもだしな。
「別にそんなことはないと思うぞ。割と俺が面倒を経験してきたから、自分に突き刺す視線を向けてく連中に上手く対応出来るようになってたんじゃねぇか?」
「な、なるほど」
……なんか思うところがある、みてぇな顔してる。
けど、俺らにとって別にお客様じゃないんだから、遠慮なくいかせてもらうぞ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます