便利な言葉
「う、美味過ぎる池、ですか」
「個人的な感想です。モンスター限定かもしれませんし。あっ、これがその池の水です」
帰宅後、ハンターギルドに直行して何を見たのか、池に関する情報などを軽く職員に伝えた。
「これがおおよその地図です」
「これはどうもご丁寧に……ありがとう、ございます?」
「? どうかしましたか」
「あ、あの……この文字の内容は、本当なのですか?」
職員が指した内容は、池の水が美味い原因はユニコーンの骨が埋まってるからかもしれない、という部分。
「いや、確定ではありませんよ。うちの従魔、ルーフェイスが池の奥底から神々しい何かを感じ取ったんです。池の奥底に何かがあるのは俺とセルシアも感じ取ったんですけど、詳細までは解らなくて……池の水が美味くなっている? 現象とルーフェイスが感じ取った神々しさを考えると、ユニコーンの骨が埋まってるんじゃないかと」
「な、なるほど?」
うん、解る。
そういう顔になるのも解るよ。
モンスターの骨が埋まってるとしても、なんでユニコーン? ってなるよな。
でも……未開拓の地だからこそ、って説得しても意味無いし、とりあえず伝えたいことは伝えられた。
「では、自分たちはこれで」
「はい。情報提供、本当にありがとうございます」
職員と別れ、メリル達と合流後は適当な酒場で夕食。
相変わらず超動いたわけではないけど、腹は減る。
「そういえば、数日後ですね」
「探求者たちに所属する有望株たちと一緒に行動を始める日か」
「…………」
「シュラ、解っているとは思いますが、喧嘩してはいけませんよ」
「解ってるっての。もう何度も聞いたよ」
シュラ、あの沈黙と明後日の方向に目を向けるという動作が合わさったら、疑いたくなってしまうぞ。
いくら戦闘大好きなシュラでも……自分から動くことはない。
もう少し従者を信用しないとな。
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SIDE 有望な若手たち
「はぁ~~~~~」
「しけた面だね、レクディス」
「うっせ……てめぇこそ、いつもの顔に影があるじゃねぇか」
レグディスと呼ばれた虎人族の青年の周りには三人の男女がいた。
「ふふ、そうだね。多分、レクディスと同じ気持ちだからね」
レクディスに声を掛けた人族の青年の名はヴェルデ。
一見、貴族にも思えなくもない良い面を持つ青年だが、れっきとした平民出身のハンター。
「そりゃ珍しいな。もう俺たちは俺たちだけで活動出来るってのによぉ」
「レクディス、マスターのご厚意ですよ」
「んじゃファールナ、お前は今回のご厚意に納得してんのかよ」
ファールナと呼ばれた人物はエルフの女性。
エルフらしく整った見た目と……エルフの中では比較的豊かな胸と尻を持っている。
「それはそれ、これはこれですよ」
「ぅおい! 納得してないんじゃねぇか」
クラン、探求者のトップ……自分たちの上司、社長にあたる人物が自分たちを心配しての提案であることは解っている。
その気持ち、提案理由は解る。
それでも、心が納得するかは話が別だった。
「ファールナもやっぱり納得出来ねぇよな~」
「そうですね、フィーマ」
鬼人族の女性ハンター、フィーマ。
彼女もファールナに負けず劣らずのスタイルと……筋肉を持っている。
「つ~~かさ、俺たちと一緒に行動する連中をぶっ倒せば、別にそいつらと一緒に行動しなくても良くなるんじゃねぇか?」
「決闘を申し込む、ということかい?」
「そこら辺はお前らに任せるわ。模擬戦とか称して俺たちが全員勝てば、他のハンターの力を借りなくても良いって証明になるだろ」
「はっはっは!!! 今日はいつになく頭が回るじゃん、レクディス!」
「だろ」
フィーマはレクディスの考えに大賛成。
ヴェルデもどちらにしろ自分たちと共に行動する同業者たちの実力は知りたかった。
そしてファールナも……それはそれ、これはこれ精神を持っており、満場一致で数日後の行動内容が決まった。
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