ぶっちゃけ反復

「さて……それじゃ、改めてよろしくな」


「「「お願いします!!!」」」


俺の目の前には三人……扱う武器はロングソード、バトルアックス、双剣とバラバラだが、主に接近戦タイプの中でも動き回るタイプの面子。


「最初に教えるのは……やっぱりあれだな。型かな」


「か、型。ですか?」


「そうだ、型だ」


魔術師団、騎士団への入団試験を控えている同級生たちとの模擬戦指導じゃなく、じっくり教えられるから、まずはこういった内容から教えないとな。


「お前たちは素振りなら休日の訓練時に行ってると思うけど、多分攻撃だけだろ」


「う、うっす」


「パーティーを組む理由は、それぞれが役割分担をして互いの弱点を補うため。だからアタッカーとかタンクって言葉があるんだろうけど、状況によっては一人か二人で時間を稼がないといけない時もある。そういう時に、普段からどれだけ回避や防御を意識出来てるかで生存率が変わってくる」


いや、解る。

ぶっちゃけ……ゲームとかと違うのは解ってるけど、武器を持って戦う人間としては、がっつり攻撃だけに力を入れたくなる。


「確かに、モンスターを倒してしまえば、こっちの勝ちだ。でもな、モンスターだって死に物狂いで俺たちを倒しに来るのは知ってるだろ。だから……俺としては、生き残ればこっちの勝ちだと思ってる」


「それは……撤退も視野に入れて行動しろ、ということですか」


「それについては追々説明するが、まずはお前たち接近戦組は回避と防御。それら上手く出来るようにしてもらう。それが出来るようになれば、スムーズに攻守と回避の入れ替えを行う訓練だな」


つっても、訓練とはいえ……ひたすら反復するのがメインなんだけどな。


「これから俺が武器を使って攻撃を行う。さっき型とは言ったけど、何も堅苦しく……仰々しい感じで動く必要はない。自分に合った動きで、こういう攻撃が来た場合、こう避ける。もしくはこう弾く。それを予め体に叩きこんでおくんだ。それじゃ、順番にやってくぞ」


俺は一人しかいないから、もう二人はしっかりと見て先にどう動くか考えていてもらう。


「避けるのは良いが、なるべく攻撃に転じることなど意識して、あまり大袈裟に動き過ぎるな!」


「は、はい!!!!」


今は左右前後大幅に移動できるが、実戦ではそう思い通りに動けない場合がある。

ていうか、そういう状況の方が多い。


相手の攻撃によっては大袈裟に避けた方が良い場合もあるが……それも追々だな。


「よし、交代だ!!!」


「お、願いします!!!!」


俺の攻撃パターンを読んでちゃんと脳内でイメージしてたからか、まだぎこちなさはあるけど悪くないな。


それじゃ、少しスピードアップするか。


「っ!? くっ!!! っと、あだっ!?」


ん~~~~……今の攻撃は、こいつの身体能力なら躱せたと思うんだけどな。


「避けられない、もしくは躱せない攻撃じゃなかったぞ……そうだな、時間があれば片足で上手く動く、対応する鍛錬をした方が良いかもな」


「か、片足での移動、ですか」


「正確には地面に片足しか付いてない状態での行動な。今みたいな速くて手数が多い戦闘になると、そういう状態になることが多い」


「……た、確かにそうかもしれません」


「そっちは、時間がある時に意識して鍛錬してみてくれ。んじゃ、次」


「お願いします!!!!」


数分後には三人目の指導も終わり、とりあえず一周した。


「よし、とりあえず三人共終わったな。これから五分間……はちょっと短いか。余裕を持って十分。お互いに外から観てただろ。そこで気づいた点を話し合うんだ」


俺が全部伝えても良いんだけど……ぶっちゃけ、俺だって超万能じゃないから気付けてないところもある。


それに、外から観てた奴らの方が気付けることもあるだろう。

話し合いが終わったら、また一周だな。

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