利用するぐらいの気持ちで
「後、そもそもな話な……別に俺がどういった出身のハンターなのかとか、どうやって強くなったのか……どうでも良くないか?」
「ラガス坊ちゃま、もっと詳しく言わなければ彼らは理解出来ないかと」
おいこらアホ、頼むからナチュラルに毒を吐くな。
それにこれからちゃんと説明するに決まってるだろ。
「解ってるっての。ちゃんと最後まで説明するわ。んで、何を言いたいかっていうとな、俺がどこの誰であろうが、お前らの今後のキャリアとかに支障が出るわけじゃないやろ」
「そ、それは……」
「そうだろ。冷静に、落ち着いて考えてみたら解るだろ。俺やセルシアにいくら咬みついたところで、実際のところ意味無いだろ。今日これだけコテンパンに倒されたんやから、一日や数週間、数か月経ったところで無理なのも解るやろ」
「っ!!!!」
「俺らの覚悟をバカにするなって気持ちは解るが、お前たちが頑張ってる間にも、俺たちだってダンジョン探索を……ダンジョン内での実戦訓練を頑張ってるだよ……なっ、俺が何を言いたいのか何となく解ってきただろ」
まだ荒い部分は多いけど、それでもこいつらが自分の身体能力やアビリティにかまかけて訓練をサボってるタイプじゃないのは解る。
とはいえ、環境のお陰もあって俺たちの方が真剣に歩いて……走り出すのが早かった。
それはどう頑張っても変えられない事実なんだよ。
「お前らが俺たちに対して負の感情を持つのは仕方ないかもしれないけどさ、強くなるっていう目標が第一なら、そういった感情に心を燃やして時間を使ったところで、無駄なだけだろ」
「先に言っておくが、ラガスさんはBランクのモンスターなら余裕で一人で倒してしまうんだ。貴族云々を抜きにしてな、そもそも張り合おうってのがバカな話なんだよ」
……多分、これは煽ってないんだろうな。
シュラなりの助言? なんだろう。
「シュラの話を信じるか信じないかはお前たちに任せる。ただな……本当に強くなりたいなら、そういう感情を無視してこの機会を上手く利用しろ。やっぱり貴族はどうたらこうたらっていう感情を爆発させるのは、実際に被害を受けた時に爆発させてくれ」
「「「「「「「…………」」」」」」」
うん、まぁそんな事出来るわけねぇだろって顔になるだろうな。
俺たちが貴族の令息だから反抗的な態度を取れてたんだろうけど……まっ、そういうところもおいおい教えるとして、とりあえず落ち着いたんだよな?
「っし、んじゃあ…………最後に聞こうか。今より強くなりたい奴はこの場に残れ。やっぱり貴族出身の連中の言う事なんて聞いてられるか!! って奴は帰って良いぞ。別に帰ったからって、ギルドの方にどうこう伝えることはない。自由に残るか帰るかの二択を選んでくれ」
色々と解るように説明したものの、やっぱり世の中貴族という存在が生理的に無理って人もいるだろうし、もしかしたら半分ぐらい残れば良い方かもな。
………………………………ふふ、それぐらいが覚悟が決まってるんだったら、最初から要らない手間を掛けさせないでくれよ。
「全員残る……ってことで良いんだな」
「言い訳になりますけど、ちょっと暴走してたところがありました。あなたの……ラガスさんの言う通り、あなた方は、特に俺たちに何かをした訳ではない」
「そう、そういう認識でいこう。俺だって自分に害をなす相手が現れたら、大手のクランや同じ貴族、ちょっと大きな声では言えないけど、王族でもふざけんなこの野郎って感じで敵対する。皆にもそれなりの過去があって相手の中身を見る余裕なんてないかもしれないが、できれば……今日みたいに暴走する前に一つ深呼吸して、頭を落ち着かせてみてくれ」
それじゃ、全員の頭が冷えたみたいだし、ようやく始めるとしようか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます