可哀想、かも

「ふん!!! ぬらあああああッ!!!!」


「せい、よっと」


最後に生命力を絶つようなぶった斬りをかまして、魔核を奪い取る。

二人ともそういう動きも上手くなってきたな。


「……どうやら、今度こそ終わったようですね」


「みたいだな」


二人が完全に巨大なボーンナイトとボーンドラゴンの討伐に成功したことで、明らかにこれまで見てきた宝箱よりも豪華な見た目の奴が現れた。


「終わったっすよ、ラガスさん!!!!」


「ん、終わった」


「おぅ、二人ともお疲れさん……楽しかったか?」


「楽しかったっす!!!」


「うん、楽しかった、よ」


二人とも本当に楽しそうな表情だな。

これだけ強敵との戦いを楽しんでると……なんだが、攻略されるダンジョンの方がちょっと可哀想に思えてきたな。


「とりあえず死体は回収して……扉も現れたことだし、外に出よう」


「ラガス坊ちゃま、ルーフェイスは大丈夫なのですか」


「隣の部屋? なのかな。そこら辺からルーフェイスの気配をさっきまで感じてたけど、少し前には消えてた」


「っ!? それは……本当に大丈夫、なのですか」


凄い心配そうな顔だな。

正直その気持ちは解らなくもない。


俺も戦闘中に薄っすら感じてたルーフェイスの気配が完全に消えた時は、ちょっと焦った。


でも、よくよく考えてみればそこまで焦ることはないと思えたんだよな。


「メリル。あのルーフェイスがそう簡単に殺されると思うか?」


「……ふふ、そうでしたね」


「そういう事だ。それにな」


壁の端まで跳んで、身体強化と剛腕のアビリティを発動。

ついでに獣魔法のアームコングも使用。


超強化した拳で……思いっきり壁をぶん殴る!!!!!!」


「うぉ~~~~、流石ラガスさん」


「揺れて、る?」


「……なるほど。何か違和感を感じたとしても、掘って進むのは物理的に不可能ということですね」


「残念ながら、そうみたいだ」


割と良い感じに亀裂は入ったけど、直ぐに修復された。


パワータイプではないとはいえ、それなりに身体能力が高い俺が三重に強化したパンチで、そこそこ亀裂が入るだけ。

しかも直ぐに修復されたからな……例え鬼魔法や竜魔法を使ったとしても、掘り進めるのは多分無理だろうな。


「んじゃ、外に出るぞ」


回収出来る物を全て回収して外に出ると、そこには既にルーフェイスが待っていた……周囲にモンスターの死体を散乱させた状態で。


「ワゥ!!!」


「おぉ~~~、よしよしよし。びっくりしたな~、ルーフェイス。もしかしてだけど、別の部屋に飛ばされて、こいつらが現れて襲い掛かって来たってところか?」


『うん、そうだよ!!! 結構楽しかった!!!!』


そうかそうか、結構楽しかったか…………真面目に攻略されるダンジョンが可哀想に思えてきた。


普通にデス・ナイトとかエルダーリッチとかが複数体転がってるんだぞ。

つかこれ……ケルベロス、だよな。


「うわぁ~~、ルーフェイス。お前こんな強い奴らと戦えたのかよ。良かったな!!」


「うん、羨ま、しい」


「~~~~~♪」


一般的には心配する場面なんだろうけど、戦ってた存在がルーフェイスなら……当然の反応なんだよな。


「ラガス坊ちゃま、どうやらルーフェイスの方でも討伐の報酬として宝箱が出たようですね」


「みたいだな。ふっふっふ……この二つの宝箱は、正直開けるのが楽しみだ」


一旦ルーフェイスが倒したモンスターも回収し、ケルベロスなどの解体が必要なモンスターをダンジョン内で解体。


凄い達成感を感じてるから、このまま上に戻っても良いかな~なんて思ったけど、どうやら前衛二人は寧ろやる気が溢れたみたいなので、このまま突き進むことが決定。


そもそもその予定だったこともあり、メリルも特に反対することはなかった。


しかしあれだな……ぶっちゃけ今回の戦闘は悪くなかったから、また転移トラップがあったら随時確認しよう。

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