抑えてるからこそ
「……や」
「おらぁああああっ!!! どんどん来いや!!!!」
ん~~~~、温度差が激しいな。
というかシュラ、ちょっと頑張り過ぎじゃないか?
このまんまだと……いや、一応全方位にモンスターがいるから、シュラ一人だけで倒してしまうことはないか。
「あのバカ……もう少し抑えて戦うことが出来ないのでしょうか」
「はは、あんまりそう怒ってやるな、メリル。一応雑魚を吹き飛ばして指揮官系モンスターの元へ突き進んでないから、シュラとしては抑えてる方だと思うぞ」
「……そうかもしれませんね。シュラにしては、抑えて戦ってるかもしれません」
解かる解かる。
普通基準が当てはまらない奴の普通にイラつくのは……一応解かると言っておこう。
あんまり俺が言うなと返されるかもしれないけど。
「それにしても、まだ奥のジェネラル系のモンスターは、動かないな」
「彼らの雄叫びや、スキルによって労力をそこまで使わないモンスターが、一応戦闘力を上げています。そういった部分を考えると、まだ前に出てこないのは正解かもしれませんね」
セルシアが全力ではないとはいえ、サクッとズバッと倒せてないところを見ると……確かにその通りかもな。
つっても、やっぱりそれぐらいの強化だと……あれだな、俺の光弾がまだまだ強いな。
「ラガス坊ちゃま、魔力の残量はまだまだ大丈夫ですか?」
「あぁ、全然まだまだいける。まだまだ光弾を撃ちまくっても問題無い。ただ……向こうの指揮官が俺に気付いたのだけ、ちょっと厄介かな」
強化されている雑魚を雑魚らしく一撃で片づけてるのがバレ、向こうの指揮官系モンスターたちは多分だけど、アーチャーやメイジに俺を優先的に狙う様に指示を出したんだろうな。
今はシュラとセルシアに殆ど遠距離攻撃が飛んでない。
「……それでは、一度全て取ってしまいましょうか」
「ん? それってどう、いう…………わぉ」
おそらく粘着性? のネットを生み出して空中でぐるっと一回転。
こちらに飛んでくる遠距離攻撃を文字通りキャッチし、纏めてぶん投げた。
その隙を逃さず、しっかりと何体かの遠距離特化モンスターを確殺していく。
「やるな、メリル!!」
「ありがとうございます。ですが、今の技は少々多めに魔力を消費しますので、あまり連発は出来ません」
「はっはっは、それはそうだろうな」
あの長さと幅、全てに突き破られない様に魔力を纏わせてたら、それなりの量を食うだろう。
「アーチャーとメイジをさっきのタイミングでそれなりに殺れたし……前衛のモンスターも二人ががっつり倒してくれてるから、多分問題はない筈だ」
「油断は禁物と言いたいところですが、ようやく二人の体が暖まってきたと考えると、そう思ってしまうのは逆に当然かもしれませんね」
いや~~、本当そうだよな。
こっちもそれなりに忙しいから全部観れてる訳じゃないけど、戦い始めた段階と比べて、明らかに戦況を冷静に把握出来てるというか……シュラの奴は体格に似合わないほど上手く回避とカウンターの連続。
セルシアに関してはシュラよりもスピードが確実に上だから、接近戦モンスターたちが全く触れられそうにない。
偶に細かい斬撃を器用に放って露出してる魔核を斬ってるし……もしかして、ゾーンに入っちゃってる感じか?
「セルシア様……普段の動きと比べて、精密さというか読みが一段階上がっていませんか?」
「俺も今同じことを考えてた。まっ、これだけどんどん選択を迫られる状況であれば、がっつり集中するのも解る」
実際の戦争っていうシミュレーション訓練だから、二人とも魔力は極力使用しない様に戦ってる。
そういう状況だから、普段みたいに無双は出来ない……だからこそ、いつもより集中力が必要なんだろうな。
とはいえ……そろそろお偉いさん達が動きそうだな。
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