立場を解らせる
「ッ!!??」
おっ、どうやらそれっぽい人間が丁度居たみたいだな。
「どうも、俺の名前はラガス・リゼードだ。こっちは相棒のルーフェイスだ」
「ワゥ」
「…………」
下手に動かない、か。
ただ、いつでも動けるように構えてはいる。
割と良い判断が出来るトップみたいだな。
「なんで俺という人間が、ハンターがここに来たのか……解らない、なんて答えるほどあんたはバカじゃないよな」
「ッ……何が目的だ」
「とりあえず、後ろの扉から誰かが入ってきたら、今すぐにあんたを殺す」
「ッ!!?? お前ら!!! こっちに入ってくるな!!!!!」
うんうん、良い判断だ。
こっちが殺気を放ったのに、逆に殺気を解放して襲い掛かってくるようなバカじゃなくて良かった。
「部下たちは聞き分けが良いみたいですね。それじゃ、落ち着いて話しましょうか」
「こんな事をしておいてか?」
「逆に殺す、なんて物騒なことを仕掛けてきたのはそちらじゃないですか」
「……それもそうだな」
とりあえず椅子に腰を下ろし、ビジネスの話を始める。
「まず、俺を……俺たちを殺すように依頼してきた人物に答えてもらおうか」
「……俺たちがそれを他人に話すのは、タブーだと知っての要望か」
「一応な。でも、今すぐここで死ぬよりは良いだろ。あっ、先に行っておくけど、お前の部下を殺したのはルーフェイス一人だ」
「ッ…………」
「あれ、そんなに驚かないんだな」
「その狼の情報は事前に得ていた。そして今、実際に相対して解かった……全て本当だとな」
なんだ、事前に情報を得ていたなら、俺やメリルたちを殺すなんて依頼、引き受けなきゃ良かったのに。
でも……狼竜を人が従えてるなんて、実際にその眼で見るまで信じられないって話か。
「今解って良かったな。それじゃ、教えてもらおうか」
更に睨みを利かせたら、観念したように教えてくれた。
「やっぱりか……それじゃ、次はあんたらに依頼しようか」
「貴族の令息であるあんたが、俺たち裏の連中に依頼するのか」
「依頼して何が悪い? そもそもあんたらに依頼する人間は一般人よりも貴族や商人がメインだろ」
手に入れた情報の中に、俺が非常に品行方正で曲がった事や汚い事が許せない自己中な正義マン、みたいな内容でもあったのか。
こいつが知る訳ないだろうけど、そもそも一応王都で一番の暗殺者ギルドのトップだしな。
「依頼金はこれぐらいで良いだろ」
「裏の人間への依頼が、金貨数枚で足りるとでも思っているのか」
「…………あんたさぁ、バカじゃねぇんだろ」
「ッ!!!???」
ただ殺気を出すだけじゃない。
狩人の眼光を放ち、明確に今、この場の現状を再度教えてやる。
お前は捕食者の前で縮こまるだけの餌なのだと。
「お前だけじゃない。この建物に居る裏の人間……全員、その気になれば狩れるんだよ。もうこれで解っただろ。俺が今こうやって話し合いだけで解決しようとしている行為が、どれだけ優しいか」
「ッ、依頼内容は……奴らの抹殺で、良いか」
「そうだな……お前らの中にそういう人間がいるなら、遊んでから殺してくれても構わない。俺としては、寧ろそれを望んでる」
向こうから絡んできて、試合や模擬戦という形になっていないにも関わらず殴って来た。
それぐらいなら股間周辺の毛が全て抜け落ち、一生伸びてこなくなる。
逆に剃っても剃っても生えてくるって呪いもありだな。
そういうのをぶち込むだけで済ませても良いとは思ってるけど、ダンジョン内で闇討ちとか、裏の人間を使って殺しにきたりするようであれば、それ相応にやり返すのが普通だろ。
「んじゃ、よろしくお願いしますよ。ちゃんと殺れてなかったら……解ってますよね」
「あぁ、解っている。直ぐに取りかからせてもらおう」
……やっぱり、それなりに頭が切れる人なんだろうな。
放っておいてもきっちり始末してくれそうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます