迷うことなく辿る

死の荒野……思った以上に厄介なんだなぁ。


「ラガスさん、セルシアさん、メリルさん、シュラさん。四人ともサファイアランクに昇格です」


なんて事を考えてたら、ランクアップが決まった。

ただし、疑問が残るランクアップだ。


現在ハンターギルドで素材と魔核を売却。

そしたら売却後に担当の受付嬢が変わって、新しく行進されたギルドカードを渡された。


「……俺ら、ランクアップの試験、受けてませんよね」


「はい。しかし、ラガスさんたちが過去に盗賊たちを倒し、殺したという情報は把握済みです。よって、今回は昇格試験なしでのランクアップとなりました」


学生時代からちょいちょいそういう事してたし、ハンターギルドがそこら辺を把握しててもおかしくない、か。


「分かりました」


ぶっちゃけ予想外のタイミングではあったが、別に断る理由はない。

サファイアを越えてルビー、ブロンズとかシルバーまで跳んでランクアップされたら、ちょっと待ってくれとはなったけどな。


「ランクアップ祝いに、良い店に行きますか?」


「しょっちゅう行ってるけど、確かにそういう気分だな」


この日の夜はダンジョンで大儲けしたわけではないけど、お高めのレストランでフルコースを楽しんだ。


んで、帰り道……少し離れた位置から視線を感じた。

その視線は俺たちが動けば、一緒に動く。


あのバカ共……本当に誰かに頼んだのか?


「ラガス坊ちゃま、どういたしましょうか」


「……馬鹿みたいに付き合う必要はない。このまま宿に戻るぞ」


人気のない場所に移れば現れるんだろうけど、ちょっと考えて……わざわざあいつらを始末するために時間を使う必要はない。


もしかしたら宿で寝てる時に襲ってくるかもしれないが、それはそれでアホ過ぎるって話だ。


「いいんすか、ほっといて」


「多分ではあるけど、シュラ。別にお前が楽しめるレベルじゃないぞ」


「……だとしたら、ちょっと萎えるっすね」


「そうだろ。それに、関係無い人達に迷惑をかけない為に移動するのも面倒だ」


追ってきている連中が俺たちに手を出して来れば、その場で殺す。


そう思い、その日はそのまま就寝。

翌日……従魔用の小屋で泊まっているルーフェイスの方へ向かうと、死体が転がっていた。


「お疲れ様、ルーフェイス」


「ワゥ!!!!!」


お前らが接近して、狼竜であろうルーフェイスが気付かないと思ってたのか?


本当にそう思ってたんなら、本当に頭の中お花畑なんだろうな。


「……やはりこうなりましたか」


「おぅ、メリル。今日の探索は昼からにする」


「かしこまりました。それでは私とシュラ、どちらが付いて行きましょうか。勿論、二人でも構いません」


「いや、行くのは俺とルーフェイスだけで構わない。ないとは思うが、お前ら二人はセルシアの方を心配しててくれ」


「かしこまりました」


うんうん、何言っても無駄って雰囲気が上手く伝わってくれたみたいだな。


「そういう訳だ、ルーフェイス。もうちょい働いてもらうぞ」


『任せてよ! こいつらの匂いを辿れば良いんだよね』


「理解が早くて助かるよ」


ルーフェイスは本当に優秀だ。

裏の連中、三人の匂いが残っている怪しい場所へと真っすぐに向かった。


アンダーグラウンドな雰囲気、匂いがする場所に入ったが、ルーフェイスが一緒にいるお陰でチンピラに絡まれることなく、目的の場所に到着。


「ここか。それっぽい場所だな……んじゃ、行くぞルーフェイス」


「ワゥ!」


ルーフェイスと一緒にこういう所に突入するのは……懐かしいな。

三年前ぐらいも同じようなことやったな~。


まっ、今回は真正面からじゃなくて、それらしい場所から突入するんだけどな。


「多分あそこの部屋、だよな」


視た感じ……弱い魔法、物理攻撃なら弾きそうな特製の窓だな。

でも、思いっきり殴れば関係無いけど、なっ!!!!!

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