新しい二つ名にどう?
討伐戦に参加すると決めた翌日、言われた通りハンターギルドに向かい、会議室として使われる部屋に入る。
すると案の定、多くのハンターから視線を向けられる。
意外にも見下す、妬み、嫌悪系の視線が全てではなかった。
中には好意的、もしくは強い興味がある。
そんな感じの視線もあるけど……それでも、半分ぐらいは俺たちが気に入らないって感じの視線だな。
とりあえずなるべく絡まれない様にと、端っこの席に移動。
作戦会議? が始まるまで寝て過ごしたいんだが、俺の平穏は一分も保たれなかった。
「おいルーキー、何寝ようとしてんだよ」
「会議が始まるまで暇なんで」
答えないとそれはそれで面倒なので、一応返答はする。
声をかけてきた男の人は……結構身長が高い。
多分、二メートル数十センチぐらいか? もしかしたら巨人族の血が流れてるのかもな。
「だったらルーキーらしく、先輩たちに挨拶して回るのが常識だろうが」
……個人的な感想なんだけど、やっぱりこうやってルーキーとか気に入らない連中に絡む人たちは、大柄な人達が多いと思うんだよな。
体の大きさだけで勝負が決まるもんじゃないだろうけど、やっぱり体が大きいってのは対モンスターで有利だし……それだけで気が大きくなってしまうか。
「そんなに挨拶されたかったんですか?」
「あぁああん!!!」
「俺がこの街に来たばかりで、あなたたちの事を全然知らないという理由もありますけど、本当に慕われる様な人なら、無条件で挨拶されると思いますよ」
自分で喧嘩はしたくないって言ってなかったかって?
先に喧嘩を売ってきたのは向こうだ。
というか、本当は頭が良いというか、空気が読める? そういう人はここで引き下がる。
メリルやシュラに言われた通り、同じハンターだからといって、誰彼構わず仲良くろうとする必要はないしな。
「……おい。喧嘩ってのはな、相手を視て選んで売った方が良いって知らねぇのか」
「体は俺やシュラより随分と大きいのに、そういうちっちゃいことを気にするタイプなんですね。二つ名は矛盾とかどうですか」
「ッ!!!!」
あら、もしかしたら他にちゃんとした二つ名があったのかもな。
太い拳骨を俺に振り下ろそうとしたが、それよりも速くシュラが動き、手のひらで矛盾さんを前方の壁まで押し飛ばした。
「がはっ!?」
「喧嘩は相手を視て選んだ方が良いって言葉、そっくりそのまま返すぞ、矛盾さん」
「ちっ!!! おいクソガキ、仲間の影に隠れてふんぞり返ってるだけかッ!!!!!」
押し出しとはいえ、それなりに強い衝撃が背中に走ったと思うんだけど……見た目通り結構タフな人なんだな。
「別にふんぞり返ってはいませんよ。というか、もう無駄なやり取りってのは解ってるでしょう? だから、会議が始まるまで大人しくしましょう」
「ガキが……俺がそっちの鬼人のガキを潰せねぇとでも思ってんのか」
「命を懸けずに潰せると思ってるんですか?」
俺がやろうと思えば、多分ここから立たずに完封出来る。
それをやらないだけ、俺はまだ優しいと思う。
「ギーマ、もう止めとけって。椅子とか机を破壊したら、また怒られんぞ」
「……ちっ!!!! 最近のクソ若ぇ連中はなってねぇな……」
そんなに年功序列が好きなのか?
自分より実力がある相手でも敬意を持たせることを強制するとか……〇L〇園じゃん。
「よぅ、災難だったな」
「いえ、心強い仲間がいるんで、特に何ともないですよ」
やはり俺に好意的な人は居てくれたようで、会議が始まるまで割と退屈せずに済んだ。
まぁ、俺に好意的な人たちはなんで最初から止めてくれなかったんだって思ったんけど、口に出さずにいたらメリルがサラッと良い感じに聞いてくれた。
「俺さ、ラガス君が王都の大会で戦ってるのを運良く観れたんだよね」
どうやら俺のファン? だったようで、助ける意味はないと思っていたらしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます