どこまで採点されるのか

「シュラは、ジークとスレイド。どっちがトップで入団すると思う?」


「……悩みど頃っすね」


二人と手合わせはしたことがあるシュラの意見は、結構気になる。

性格からして、遠慮なく答えてくれるしな。


「俺の個人的な意見っすけど、スレイド様の方がトップで入団すると思うっす」


「ほぅ……それはどうしてだ?」


「武器の違いは置いといて、スレイド様の方がこう……野性味があると思うんすよ」


「……うん、そうかもな」


シュラ、それはあれじゃないか。

お前が戦ってみたい方、って判断で選んでないか?


「今の二人の正確な実力、戦い方は知らないっすけど、俺の記憶の中ではスレイド様の方が野性味と執念があったす」


「野性味と執念、か。ジークは強くても、戦い方が良い意味で騎士っぽいから、逆にそこが差になるってことで良いか?」


「そんな感じっすね。まぁ、俺は入団試験を受ける学生たちの試験監督じゃないんで、何を基準で成績を付けるのか解らないっすけど」


「はっはっは! それなら俺だって解らないよ」


そりゃそうだな。

成績に騎士らしさってのもあるんだったら、ジークの方が有利かもしれない。


ただ、純粋な戦闘力……戦闘時に体から溢れ出る闘気とかを考えると、個人的にはスレイドの方がやや有利な気がするな。


「そんなに気になるな、やはり観に行けば良かったのではないですか?リアルス様やフリージア様は快く迎えてくれると思いますが」


「だから、バレるとうちの生徒たちだけじゃなくて、他学園の生徒たちに変なプレッシャーとかを与えるかもしれないだろ」


ぶっちゃけ、他学園の生徒でスレイド以外にあんまり親しい生徒はいないけど、だからって不用意に緊張感が増す様なことはしたくない。


あっ、一応知人ならイーリスがいたか。


「ですから、以前貴族の方々から貰ったプレゼントに、姿を消すマジックアイテムのマントがあったではないですか」


「………………あぁ~、確かにそんなマジックアイテムあったな」


メリルのやつ、良くそんな細かく覚えてるな。


確かに、身に付ければ周囲の生物から見えなくなる、つまり姿を消せるって効果が付与されてた。

匂いとかまでは覚えてないけど、ランクも低くなかった気がするし……そうだな。それを使えば、受験生たちに気付かれずに試験の様子を見れたかもな。


「でも、もう実技試験も始まってるだろうから、今更って話だろ」


「それはそうですが」


「ラガスは、結果、気になる、の?」


「そりゃ気になるさ」


「……なら、分かるまでに、私と模擬戦、しよ」


「お、おぅ」


なんか機嫌悪……くはないか。

ただ、ちょっとピリピリしてるよな。


何でだ……ここ最近、何かあったか?

体調が悪いわけではなさそうだよな。

てか、仮に体調が悪かったらキリアさんがしっかり止めるし。


じょ、女性の日だからか?

それなら、尚更大人しくしておいた方が良い気がするんだが……うん、俺の口からは聞けないな。


「それじゃ、軽くやるか」


「うん、戦ろう」


お互いに開始線に立って、木製の武器を持って……メリルの掛け声でスタート。


「シッ!!!」


「ッ、っと、ほっと!」


ジークやスレイドも出会ってから入団試験日まで、本当に強くなったと思う。

ただ、やっぱりセルシアには一歩敵わない。


羅門を使用したリーベならなんとか、って強さだ。

これに紫電崩牙の力まで加わったらと思うと、入学する前から強かったけど、リーベやジークたちと比べても、成長の幅は負けてない。


突き一つにしても、魔闘気すら纏っていないのに恐ろしい空を貫く音が聞こえてくる。


まっ、だからといって、俺も負けてられない。

模擬戦では魔力の使用はオッケーなので、魔弾のアビリティは使用せず、魔弾を使い始めた。


「ふっ!!!」


剣と魔弾による連撃にもかなり対応されるようになってきたが、どうやらまだ一瞬の隙を見つけ、そこに動く速さは俺の方が上みたいだな。


「俺の勝ち、だな」


「……うん、参った」


ん~~~……なんか、珍しくテンションが低いな。

昨日か今朝食べた料理の何かにあたったか?

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