歳を取れば、変わるかも

会場の客たちから注目を浴びるが、全無視。


まっ、あんまり気にしなくても、もう俺たちにダル絡みしようとしてくる連中はかなり減った。


身長と体格は順調に大きくなったし、顔も嘗められるタイプではない……はず。

セルシアなんか、相変わらず大人しい感じは変わらないけど、高貴さ? みたいなのが増した。


メリルは……あれだな、個人的に厳しさが増したと思う。

シュラに関してはここ数年、まだまだ成長期だったらしく、俺と同じ様に身長と体格が増加。


用心棒って訳じゃないけど、シュラが一緒に居れば滅多なことでは絡まれなくなった。


「ラガス坊ちゃま、どういった商品が欲しいか決まりましたか?」


「あぁ、それは決まってるよ」


元々、ある程度これが欲しいって決まってたから、オークションに参加したんだ。

今更あれこれと迷うつもりはない。


「てか、そろそろ坊ちゃまは止めてくれないか?」


「坊ちゃまは坊ちゃまですので」


メリルからすりゃそうなのかもしれないけど……俺、もう十八だぜ。


十八なのに坊ちゃまは……なぁ。

もう何回目になるやり取りなのか分からないけど、このままいけば五十六十を超えても坊ちゃま予備が続きそうだな。


そんな事を考えてるうちに、舞台に司会者の方が現れ、オークションがスタート。


因みに、今回どういった商品がオークションに出品されるのか、種類だけ把握している。

奴隷とかが出品されないオークションを選んだので、精神的を楽にしてオークションを楽しめる。


正直……そういう人が目の前で売られるってなると、変な正義感が出てしまう。


なまじ、他の参加者を押しのけて買えるであろう財力があるのが良くない。

買った後のあれこれを考えると……うん、面倒。


「……ラガス坊ちゃまも、あぁいった美術品を一つや二つ、お買いになりませんか?」


「欲しいのか? 一つぐらいなら良いぞ」


「いえ、そういう訳ではありません。ただ、将来的なことを考えると、屋敷に飾る物を幾つか持っていても損はないかと」


「えぇ~~……俺はそういうの興味ないし、別に良いよ」


ハンターを引退することになったら、実家に帰るしな。


屋敷には既に多くはないけど、そういった品が飾られてる。

カロウス兄さんの代になれば、また少し増えると思う。


男爵家という規模を考えれば、それぐらいで十分。

俺が下手に買う必要はない。


「何だかんだで貴族の令息なのですから、あぁいった品に興味を持っておいて、不都合はありませんよ」


「考えとくよ」


別に美術品なんて、所詮がらくただ!!! なんてアホバカみたいなことを考えてない。


何度かセルシアとのデートで王都の美術館に行ったけど、落ち着いて見てると、こう……圧倒される、引き込まれる力? があるんだよな。


そっち方面に関しては、ほぼほぼ素人だから偉そうなことは言えないけど、凄い物は本当に凄いと思う。


だが、収集家にはなろうと思わない。

金があったとしてもな。


「それ、絶対考えない口調ではありませんか」


「……そんな事ないぞ」


歳を取ったら、気が変わるかもしれないじゃん。


その心境の変化は考えた結果じゃないかもしれないけど。


「武器だったら、今後真面目に収集しようかなとは思うけどな」


「……戦闘狂は程々にしてください」


説教されちゃったよ。


でも、メインの武器とかサブの武器とかその他諸々持ってるけど、やっぱりそっちの方が強く興味持っちゃってるからな。


どうせ何かを収集するなら、武器を集めたい。


「ラガスさん、その武器の番になりましたよ」


シュラの言葉通り、美術品の出品が終了し、次は武器が舞台上に運ばれて来た。


当然だが、舞台上に運ばれて来た商品に、偽物はない。

遠目からでも存在感の強さが伝わってくる。


……まっ、そんなにほいほい買わないけど。

まだ個人的に、武器は戦闘で使ってこそなんぼだ!! って気持ちが強いからな。

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