断られ続けている

「突然の訪問、申し訳ありません」


大会が終わってから二日後、休日の朝……丁度朝食を食べ終わったぐらいのタイミングで、王城からの使者が来た。


「ラガス様、セルシア様たちには是非とも、国際大会に出場する選手の選抜参考人として、今から王城に来ていただければと」


選手の選抜参考人……俺たちが?


「それは……面白そうですけど、俺とセルシアは選考する側なんですか?」


「勿論です。学生のツートップであるお二人は、既に出場する選手として内定していますので」


自分で思うのはちょっとあれだけど、当然と言えば当然の結果。


「俺は特に予定はないんで、大丈夫ですけど……」


「私も、特に、予定はない、よ」


「大丈夫みたいです」


メリルやシュラの方をチラッと見たが、どうやらそちらも特に予定はない様子。


「ありがとうございます」


使者の方に深々と頭を下げられ、馬車に案内され……いざ、王城へと向かう。


因みに、馬車の中でルーフェイスを騎士たちの訓練相手に借りたいと言われ、報酬として白金貨数十枚を渡された。

騎士団としても、珍しい竜種の狼竜と戦えるならばと、報酬を惜しまなかったようだ。


『そんな感じの提案をされたんだけど、どう?』


『騎士って、ドレッグやオルアたちみたいに強いんだよね』


『多分強いと思うぞ』


『なら、受けても良いよ』


という訳で、騎士団から提案された内容を承諾。

白金貨数十枚は、全てルーフェイスの食費に使うと決めた。


そして王城に到着してから、ルーフェイスとは一旦お別れ。

使者の方に言葉が通じると伝えているので、特に問題が起こることはないだろう。


てか、問題が起こっても国王陛下がもみ潰してくれるだろう……多分。


「おぅ、初めましての面子もいるな」


特別部屋? 的なところに案内されると、部屋の中には二人の男性がいた。


「そうですね。今日はよろしくお願いします」


セルシアが対面ありか? 俺は目の前の二人とは初対面だが……素性は知っている。


「第一騎士団長のリアルス・アンディーグだ。よろしくな!!!」


「宮廷魔術師の団長を務めるフリージア・二ルーナです」


真紅色の短髪、ワイルドな顔を持つ体格の良い武人さん? と、白髪のロングストレートで良い感じに歳を取ってる清楚イケメンな宮廷魔術師の長。


この場に二人がいるってことは、この方たちと一緒に選考を行うってことだよな。


「ラガス・リゼードです。今日はよろしくお願いします」


「セルシア・ロウレットです。よろしくお願いします」


「んじゃ、始まるまでそこに座ってゆっくりくつろいでてくれ」


「紅茶を用意しましょう」


促されたイス……の前は、ガラス張りになっており、視線の先には広い広い訓練場がある。


「どうぞ」


シュラたちの分も用意され、有難く頂く。


「美味しいです」


何故宮廷魔術師の長がこんなに美味しいお茶を淹れられるのか? という疑問はあるが、本当に上手い。


「それは良かったです。ところで……お二人は、本当に騎士団に入らないのですか?」


「おぅ、そうだぜ。騎士団長の俺としては、是非とも二人に……そっちの従者たちにも入団してほしいんだけどな」


いきなりのお誘い!

嬉しいのは嬉しいんだが、丁寧にお断りさせていただく。


「すいません、俺たちはハンターの道に進むと決めているので」


「同じく」


「だよな~。二年前にお前の兄を誘ったんだけどよ、同じ言葉を返されたぜ」


「私もクレアさんをお誘いしたのですが、あっさりと断られてしまいました」


流石アリクとクレア姉さん。

ロウド兄さんとクローナ姉さんもハンターの道に進んだし……結果的に、騎士団とかに入ったのはカロウス兄さんだけか。


「なぁ、弟や妹もハンターになるって言ってるのか?」


「今のところ、そちらの方面に進もうとしてますね」


「はぁ~~~、やっぱりか。いや、そういうのは本人が決めることだから、仕方ないっちゃ仕方ないんだけどよ」


「その気持ち、良く解りますよ。リアルス」


……な、なんかすいません。


二人に対してちょっと申し訳ない気持ちになってると、訓練場にぞろぞろと候補の生徒たちが入ってきた。

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