それはそれでムカつく
「ワゥッ!!!!!」
「ギィィァァアアアッ!!!」
ルーフェイスとアサルトワイバーンの爪撃がぶつかって、結果は互角。
モンスターのランクとしてはルーフェイスの方が上なんだが、まだまだ子供だからか?
「ラガス君、私が攻めても良いかな」
「えぇ、勿論。それでは俺は動きながらサポートします」
俺の答えを聞き終わると直ぐに掛けだすロウレット公爵様の背を狙い、脚力強化の付与弾を撃つ。
「ッ!!?? はは、これは良いな……遠慮なく頼らせてもらおう」
直ぐに俺の能力に気付いてくれたみたいだな。
一応念のために、ルーフェイスにも付与しておくか。
『ありがとう、ラガス!! よぉ~~~~し、負けないぞ!!!!』
アサルトワイバーンが空中で動き回るのは厄介だが、それでも森の中を駆けまわるスピードならルーフェイスも負けてない。
更に脚力だけなら魔靴を装備してるロウレット公爵様も負けず劣らず。
後は俺もラビットフットを使えば問題無し。
動きながらでも十分に対応出来る。
「ギィアアッ!!!」
「ほほ、恐ろしい切れ味だな」
ロウレット公爵様は表情を変えずに躱したが、大木を尾で両断か……普通は荒々しい跡が残るもんだけど、あれだけスパッと切れるのは確かに恐ろしいな。
「でも、手数が多ければダメージはしっかりと与えられるな」
ロウレット公爵様とルーフェイスの攻撃は相殺する形をとってるが、基本的に俺の魔弾は無視。
当たったところで大したダメージはないと思ってるんだろうな。
当てた個所をよ~く見ればそんなことはないと思うんだけどね。
塵も積もれば山となるって言うし、これなら俺が蓄積させたダメージが要因となって生まれた隙をルーフェイスかロウレット公爵様が突いて、そこで戦闘終了になるだろうな。
『ラガス、ラガスは近づいて戦わなくても良いの?』
『あぁ、別に構わないよ。魔弾だけで戦うのも悪くないからな』
ルーフェイスだって翼を出さずに戦ってるし、俺もそれぐらい制限を付けて戦っても良いだろ。
それにロウレット公爵様だって、今身に着けて戦ってる武器はきっと本気で戦う時の武器じゃない。
まぁ、あまりにも一瞬で倒したらストレス発散にならないだろうから、敢えてランクの低い武器を使ってるんだろうけどさ。
「にしても遠慮ないという肉食というか、恐れ知らずというか……同じドラゴンという種族で考えれば、ルーフェイスの方が格上なのに、あれだけ食らいつけるのは賞賛に値するな」
ルーフェイスが子供だということ差し引いても、数が多くないドラゴンの中でも更に希少な種族である狼竜。
そしてただ希少なだけじゃなくて、桁外れの強さを持っている個体だ。
そんなドラゴンの子供であるルーフェイスとおそらく父さんと同じか、もしかしてそれ以上の実力を持つロウレット公爵様を相手に……本当によくやるよ。
でも、あんまり火のブレスとかは使わないんだな。
使われたら消火が面倒だからこちらとしては有難いんだけど……木が消えたら消えたで自分が不利になるってのを把握してるからか?
だとしたら殺戮性が高いだけじゃなくて、頭もそれなりに回るってことか。
未だにルーフェイスとロウレット公爵様の攻撃はなんとか凌いでる……精神面で削られてるかもしれないが、凄いことに変わりはないな。
もっとも、二人が本気を出したら話はまた別なんだろうけど。
ただ……マジで俺の攻撃は眼とかに当る以外はガン無視なんだな。
ちょいちょいダメージは与えられてるから良いやと思ってたけど……それはそれでムカいてきたな。
魔弾の種類を変えて撃つか。
「これなら少しはビビるだろ」
魔弾の性質を変更し、発射。
さっきまでと同じく避けるだろう……と思ってたけど、ギョッとした表情で避けた。
あらあらマジか。
頭が回るだけじゃなくて、直感も優れてるのか。
でも……無理矢理避け過ぎたみたいだな。
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