全員が驚いていた

会話が始まってからロウレット公爵様にもう……なんか色々と感謝された。

勿論嬉しいんですけどね。


ちょい恥ずかしいけど、嬉しいのは嬉しいですよ。

特に……俺が造った魔靴をベタ褒めしてくれたことに関しては本当に嬉しい。

本当に職人冥利に尽きるって感じだ。


「そういえば、まだ大会に関しての祝言を伝えていなかったな。本当に素晴らしい戦いだったよ」


「あ、有難うございます。ロウレット公爵様にそう言ってもらえると嬉しいです」


超強い人に自信の強さを褒められると超嬉しい。

というか、観に来てたんだな。


まぁ、大事な娘が参加してるんだから当たり前といえば当たり前か。


「ただ……少し退屈だったんじゃないか」


「い、いえ。そんなことないです、よ」


「ふふ、謙遜する必要はない。あの大会でラガス君が楽しめた試合はほんの少しだっただろう。魔法の腕に関しては鬼才のイーリス嬢との戦いでも君はあまり満足してるようには思えなかった」


え、えっと…………ど、どうだっただろうな?

イーリスの態度が態度だったから、あんまり楽しもうといった心境で戦いに挑んでなかったし……そう、だね。

多分、楽しんでなかったかもしれないな。


セルシアやあの槍使いの同級生……後は、レーシアさんとの戦いはそれなりに楽しかった。

他はそこまでって感じだったかも。


「イーリス嬢が決して弱かった訳ではないがな。ただ……ラガス君がアサルトタイガーファングを正拳で砕いたときは本当に驚かされた。私だけではなく、周囲の者たちも同じく驚いてたよ」


「そ、それは……ありがとうございます?」


あれに関しては音魔法で一喝してから拳をぶち込んだから、正確には正拳だけで砕いた訳じゃないんだが……そこは言わなくても良いか。


てか……なんでだろ。

横を見なくてもメリルとシュラが誇らしげな顔してる気がするんだが……気のせいじゃないよな。


「あまりこういう事を訊くのは良くないと思うが……ブリット王子との戦闘も面白くなかったんじゃないか」


「そ、そうですね……あれは大会の時みたいに楽しむとかそういう気持ちは一切なかったので」


なんというか、あれだよな……そう、制裁。

気分的にはそんな感じであの戦いに臨んだ。


マジックアイテムでガチガチに固めてたから、こっちも遠慮なく強化アビリティを使って色々と潰したな~。

あの戦いに関しては本当に楽しむ要素ゼロだった。


「なるほど……ちなみに、どういった風にブリット王子を倒したのかを聞いても良いかい」


「え、えっと……」


こ、これは言っても良いのか?

でもドレッグさんは俺がどうやってブリット王子を潰したのか知ってるわけだし……別に構わないか?


「良いと思う、よ」


「そ、そうかな? えっとですね……自分の魔弾というアビリティには面白い効果があるんですよ」


「ほほぅ。それは興味深いな」


ザっと俺がどんな感じでバカ王子を潰したのかを話し終えると、ロウレット公爵様は豪快に笑い始めた。


「はっはっはっはっはっはっは!!!!! なるほど、実に面白い倒し方だ! リオもそう思わないか?」


「そうですね……実にユニークな倒し方かと。悲惨と思われるかもしれませんが、その一件の発端を考えればブリット王子が原因ですからね……当然の報い、と言えるかもしれません」


あら、リオさんまで面白がってるよ。

俺も第三者であればバカ王子のやられようを聞けば笑ってしまうとは思うが……まぁ、笑ってくれたのであれば良しとしよう。


「はは、そうだな……確かに当然の報いだな。それはそうと、ラガス君。噂でリザード家から婚約話を持ち掛けられたと聞いたが、それは本当なのかな」


こ、これは……ちょっと怒ってる?

いや、別に怒ってはないか。


でもさっきまでと比べて圧があるというか……とりあえずバカ王子の件と同じく、全部話しておくか。

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