ハンターになる時点で無理

オーガと遭遇してからは特に面倒なモンスターと遭遇することなく、厄介なイレギュラーが起こることなく狩りを続けた。


今日見る限り、Cランクのモンスターが相手でも上手く戦えてたけど………兄としては、やっぱりまだ四人がCランクのモンスターと俺たちがいない状況で戦うのは不安に感じる。


Dランクのモンスターなら、複数いても四人なら大した傷を負うことなく倒せそうだが、Cランクのモンスターが複数だともう無理だ。


ランクが高くなるにつれて群れで行動する個体は少なくなるけど、決して絶対というわけではない。


「レアード、セリス。今日は俺たちがいるから良かったけど、次からはCランクのモンスターを見つけても、今まで通り見つからないように逃げるんだぞ」


「……うん、分かりました」


「そうだよね~~。今日は良い感じに戦えたと思ったけど、ラガス兄さんが魔弾で援護してくれなかったら私はオーガに吹き飛ばされてたし」


「二人ならいずれ一人でも倒せるようになるのは間違いない。だから無理して焦るなよ」


「「はい」」


二人のいずれ倒せるという言葉に嘘はない。

身内贔屓かもしれないが、それでも二人ならあと数年もすれば一人でCランクのモンスターを倒せるようになる。


レアードはちょっと納得いってなさそうけど、セリスは納得してそうだし上手く止めてくれるだろ。

俺としては……二人よりニルナとエルシャがちょっと心配だな。


オーガが最後の力を振り絞ってセリスを吹き飛ばそうとした場面で、自分たちがいの一番に動けなかったことを後悔してるというか悔いてるというか……ちょっと深く考え過ぎてるような気がする。


「なぁ、メリル。二人にあんまり思い詰めるなって言っといてくれよ」


「……分かりました」


主人側の俺が言ってもあれだろうし、同じ従者で先輩のメリルからの言葉なら少しは余裕を持てる筈。


……逆に叱責したりしないよな?

メリルってちょいちょい厳しいところあるし……いや、大丈夫だ。

そこまでメリルも鬼じゃない……はず。


屋敷に帰ってからはいつも通り皆で夕食を食べ、翌日はいよいよセルシアの実家に向かって出発。

ちゃんとそちらに向かいますという連絡も送ってある。


「それじゃ、二人とも……まぁ、あれだ。あんまり無茶なことするなよ」


メリルやシュラからすれば、お前が言うなと思われるかもしれないが、一応兄として言っとかないとな。


「うん、冷静に無茶します」


「レアードと同じく!!!」


これは……ちゃんと解ってるんだよ、な?


「ラガス、俺とクレアが実家にいる間はちゃんと無茶しないように見張ってる」


「そうよ。だからラガスは安心してセルシアさんの実家にいってらっしゃい!!」


「ありがとうアリク、クレア姉さん」


二人が学校に戻った後もそれなりの生活を送ってくれてれば良いんだが……そこまで考えても仕方ないか。

レアードセリスが……ニルナとエルシャも冷静な判断を下せることを祈るしかないな。


「セルシアさん、うちの息子をこれからもよろしくお願いします」


「この人に似て色々と無茶するかもしれないけど、よろしくね」


「大丈夫、です。多分、一緒に無茶する、ので」


……ちょっとどこが大丈夫なのか分からない返しだけど、二人は超納得してるみたいだな……親の気持ちはまだ良く分からないな。


「私としては、あまり無茶をしてほしくはありませんけどね」


「メリル……それはラガスさんは将来的にハンターになるんだし、どう考えても無理だって。もう諦めろ」


「……そうした方が良いかもしれませんね」


シュラ……ナイス!!!

そうなんだよ、ハンターっていう常に危険が付き纏う職業に就くんだから、無茶をするなってのが無理なんだ。


これでメリルからの小言も減るだろう……多分。

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