無様な姿

「はっ!!!!」


「グッ!?」


キリアさんが短剣でオバルの利き手を切断……とまではいかなかったが、真剣はやられただろうな。

一応まだ繋がって入るが、多分碌に動かすことは出来ない。


「クソ、ガキどもが……嘗めてんじゃ「そういったセリフは聞き飽きました」ぐあっ!!」


シュラ、ルーン、キリアさんにボコられてもまだまだ元気みたいだが、背後からメリルに蹴りつけられて地面にダウン。


そして背のまま背中を踏みつけられている。

ん~~~~……なんとも無様って感じだな。


良い歳したおっさんが二十を越えてない女の子に背中を踏まれてるなんて……ちょっとSMプレイみたいだな。

屈辱的な状況だろうけど、メリルが今までモンスターを倒して手に入れた力を考えれば、オルバがパワータイプであったとしても動けない。


「その脚を、どけろ!! クソアマ!!!!」


「どけろと言われて、はい分かりましたとどけるわけないでしょう。ジタバタされるのは面倒なので、四肢は斬っておきましょうか」


右手から四つの魔力の刃を放ち、サクッと両手両足を斬り裂いた。


「ぐあぁあああああああああ!!!!!」


うん、そりゃ痛いだろうな。

戦闘中ってアドレナリンがドバドバ溢れてるから多少の傷ぐらいならなんてことはないけど、あそこまでガッツリ体を斬られると痛覚耐性、もしくは痛覚遮断みたいなアビリティがないと耐えるのは無理だ。


「ラガス坊ちゃま、この後はどうしますか? 傷口を焼けば止血してもう少し今までこいつが行ってきた行為を返すことが出来ますが」


メリルって本当にそういうことをサラって言うよな。

見ろよ……さっきまで騒いで威張り散らしてた団長さんの顔が一気に青くなった。


まっ、本当に傷口を焼くか? ってポーズでシュラが手のひらに火を生み出したからってのもあるけど。


「……これ以上、こいつらに時間を使うのは嫌だから、サクッと終わらせてくれ」


「良いのですか?」


「あぁ、構わない……でも、メリルがそいつのこと気に入らないなら、死体を地面に埋める間までは虐めても良いけど」


「ありがとうございます。安心してください、時間を掛けるつもりはありませんので」


その言葉が合図となり、シュラが四つの火のと玉で四肢の切断面を焼いた。


「ぎゃああああああああああああっ!!!!!!」


傷口を焼かれる……死ぬほど痛いだろうけど、今まで何人も殺してきたんだから当然の罰って感じだろうな。

おっ、毒は大抵紫色で毒々しい感じだが……メリルが生み出した毒、なんか赤くないか?


毒々しいというより、痛々しいって感じだな。


「安心しなさい。ちゃんと死ぬ毒なので」


「や、止めろ!!!!」


「嫌です」


赤い毒液を浴びせられたオルバは痛いと連呼しながら地面を芋虫の様に転がり始めた。


「全ての死体を埋め終わるころには、おそらく死ぬかと」


「流石だな」


「ラガス坊ちゃまの専属メイドですので、これぐらいは当然です」


そ、そうか……それにしても、本当に恐ろしい実力者になったよな。

俺が毎日森の中に連れまわしたせいってのもあるだろうけど。


とりあえず盗賊の死体を地面に埋めて……盗賊達が溜め込んでいたお宝を回収したら終わり。

そう思っていたんだが、全てが予定通りには進んでいなかった。


「おい、お前ら!!!! その場から動くんじゃねぇ!!!」


誰かの声……おそらく盗賊。

それは分かったので即座に後ろを向くと、そこにはボロボロな姿でエルフの女の首に短剣を突き立てている生き残りがいた。


誰があいつと戦ったのかは分からないが、どうやら殺り損ねたみたいだな。

ただ、生き残り盗賊自体は相当な傷を負ってる。

あの怪我なら死んでもおかしくないって判断してしまうのは仕方ない。


「良いか、さっさと武器を置け……そんで服も全部脱ぎやがれ!!!!」


……一つ目は当然の要求だろうけど、二つ目の要求は上手いな。

俺やシュラ、ルーンはそこまで気にしないかもしれないが、女性陣にとってはふざけんな! って怒鳴りたくなる要求。


だが、男でも素っ裸で戦うのは全く慣れていない。

そんな状態で戦わされれば、多少なりとも普段通りに戦えなくなるかもしれないな。


「おらどうした!! さっさとしねぇと、こいつをぶっ殺すぞ!!!!」


結構血が出てるから放っておいても死にそうだけど……不愉快だし、ササっと殺そう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る