持ち主面すんな
相手は自分たちより歳上。
そしてモンスターと同じ様に俺たちを全力で殺しに来る。
だから、身体強化だけじゃなくラビットも使って確実に殺しにいく。
「シュラ、今回は遊ぶなよ」
「えぇ、勿論分かってますよ」
……ちゃんと分かってるみたいだな。
「ん? ガキ、か??」
「はは、こんな場所にガキが来るなんて……おいおい、マジかよ。獲物が向こうから、あ……ぁ」
ガキとはいえ、こっちは貴族の令息や令嬢だぞ。
隣にいるのはブラックウルフの皮を被った狼竜なのに、ちょっと油断しずぎじゃないか?
魔弾一発で終わるって……いや、今はそんなことどうでも良いか。
一応狼竜眼で確認したところ、再生のアビリティか珍しいのは持っていない。
「ふっ!!!」
事前に俺はシュラとペア。
セルシアはメリルと、ルーフェイスはキリアさんとルーンとペア。
ペアのバランスは取れるようにしてある。
誰が相手でも……ぶっ潰せるはずだ!!!
「ガキが勇者ごっこでもやろうってか? 世間知らずの坊ちゃんだぜ!!!」
大剣をそんな鈍いスピードで振るっても当たるわけないだろ。
そっちこそ、貴族の坊ちゃんが盗賊相手でも戦えるって知らないのは、結構世間知らずなんじゃないのか?
盗賊として活動してるだけあって、それなりに動けるみたいだが……回転を加えた魔弾が当たれば、一発でお陀仏だ。
「……へぇ~~、まぁまぁな大剣を使ってるんだな」
「なっ!!?? す、素手で俺の大剣を……ふ、ふざけんな!!!!」
「別に、ふざけてなんかいないぞ」
シュラを相手に力勝負なんて……無謀も良いところだ。
確かにシュラの言う通り、扱っている大剣は火属性の効果が付与されてる魔剣っぽいが、シュラの鬼炎を圧し潰せる火力はないだろ。
「何処見てんだガキ!!」
「隙だらけだぜ!!」
おいおい、隙だらけなら声を出して相手が気付くようにしたら駄目だろ。
それに、気配感知でしっかりとお前らの接近には気付いてるっての。
「うるせぇよ、犯罪者」
まともな剣技や槍技を習ってないからか、俺が今まで魔弾で盗賊を殺してるのに、全く気にせず近づいてくるんだな。
遠距離攻撃がメインに見えても、あんま不用意に近づかない方が良いのに。
「えっ……」
「あ……ぅ」
魔弾を撃つのに、予備動作は必要ない。
相手がガチガチに防御を固めて、尚且つある程度動けるなら話は別だけど、さすがに盗賊たちがそんなアビリティやマジックアイテムを持っている訳が無い。
「こいつは俺が貰っておいてやるよ」
「がっ!? て、てめぇ!! そいつは俺のだ。返しやがれ!!!!」
「何を言ってんだ? どうせ誰かを襲って手に入れた魔剣だろ。本当の持ち主面してんじゃねぇよ」
相手からサクッと大剣を奪い、先程まで使っていた盗賊よりも上手く扱う……というかシュラ、やっぱり俺やメリルよりもお前の方がよっぽど鬼だ。
今は冷静に盗賊を排除してるから激情とかの感情は感じられないが、それでも……冷鬼? って感じの雰囲気が漏れ出てるぞ。
「ラガスさん、結構数が減ってきたっすね」
「そうだな……皆も頑張ってくれてるからな」
俺も魔弾でそれなりに処分したが、火属性の大剣を奪い取ったシュラが一瞬にして鬼炎を纏わせて、速攻で五人ほど斬り捨てた。
やっぱりシュラも跳び抜けてるよな。
年齢は俺と違って体格はそれなりに大きくなってるとはいえ、相手は大体二十を超えた完全な大人。
そんな大人に対して一歩も引かず……どころか、完全に押し切っている。
「このアジトが、出入り口が一つしかない場所で良かったよ。誰一人……逃がさずに済むし、なっ!!!!」
「あ、が……」
なるべく足音や殺気を消して近づいたのは良かったけど、完全に気配を消さない限り殺られるかっての。
「ラガスさんも流石っすね。全方位、どこから襲い掛かってくる相手も魔弾だけで潰すなんて」
「……盗賊とはいっても、常日頃から訓練してるような奴らじゃないからな」
結構潰したし……後は、大将を潰せばほぼ終わりだな。
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