実家に帰ればあの二人が
「ふぅーーーー、とりあえず大会の開催は前向きに進みそうだな」
「そう、ね。でも、上手くいけば、来年には開催される、かもしれない」
「まぁ……本当に早ければそうなるだろうな。多分無理だと思うけど」
俺とバカ王子が戦う時に、その場にアルガ国王と護衛の騎士もいた。
護衛の騎士は騎士団長とか副騎士団長とか、騎士の中でも権力を持った人たちじゃなかったと思うが、それでも相当な手練れって感じだった。
「ラガス坊ちゃまの実力は、一応アルガ国王側に漏れていますからね」
アルガ国王もそれなりに戦える感じの人だったし、俺が普通ではないことぐらい気付いてるだろう。
それに……目の前でマジックアイテムをフルで装備した王子をボコってるから、まともな手段では俺に勝てないってことぐらいは解るだろう。
ただ、向こうとしても煽られたらそう簡単に引けない面子もあるだろうし……まっ、俺たちがいる代のうちに開催されるかどうかは、ガルガント国王様たちがどれだけ相手を上手く煽ってくれるかだな。
「来年に開催されなくても、おそらく再来年には開催されるはずだ……どんな形になるかは分からないけど、楽しみなことに変わりはないな」
「そうですね。二か国での開催となれば、私も色々と使える相手が現れるかもしれません……ふふふ、楽しみですね。本当に」
「メリルの言う通りだな。歯応えがある奴しか出場しないだろうからな……胸が高鳴るってものだ」
……二人とも本当にバトル好きだね。
というか、シュラが好戦的なのは知ってたけど、メリルってこんなにバトル大好きメイドだったけ?
もしかして最近満足に体を動かせてないから、ストレスが溜まってるのかもしれないな。
学園に入学してからも体は動かしてるけど、モンスターと戦う時みたいに危機感がある実戦は体験してないからな。
ん~~~~……今度森の中に入って一日中モンスターと戦うか。
そうすれば良い刺激を受けてストレスが解消されるかもしれないし。
「なぁ、二人とも大会開催を楽しみに思うのは自由だけどさ、殺したら駄目だからな」
「何を言ってるんですか、ラガス坊ちゃま。私がそのようなミスをするはずないではないですか。シュラではないのですから」
「ちょ、俺だって実戦じゃないんだからそれぐらい気を付けて戦うに決まってるだろ」
「いや、二人とも今の雰囲気だと気合が入り過ぎてて、実戦でもそうじゃなくても全力を出してうっかり殺しそうな雰囲気してるから。な、セルシア」
「そうね。今の二人は、力の制御が、出来なさそう、と思う」
ふふ、基本的にいつも冷静なセルシアからツッコまれて落ち込んでやんの。
でも本当にそんな雰囲気が零れてるんだよな。
殺意を持って殺すんじゃなくて、力が溢れすぎてついうっかり殺してしまう……そんな危険性がある。
「まっ、大会開催までに感情を落ち着かせててくれれば十分だよ」
「む……かしこまりました。それで今日はこの後、王都のマジックアイテムが売っている店を巡る、という内容で宜しかったですか?」
「おう」
今日は丸一日休日。
そして明日から実家に帰る。
飛ばしてもそれなりに掛かる距離だが、滞在時間がそこまで長くなければ夏休みの間にセルシアの実家に行く時間も十分ある。
二年後にアルガ王国と合同で大会が開催されるかもしれないって知ったら、父さんと母さんも驚きそうだな。
ん? そういえば実家にはあの二人……レアードとセリスがいたよな。
おいおいおい、ちょと待て。
確かあの二人は俺の二つ下だったよな……ということはだ、俺が三年生の時にあの二人は一年生として学園に入学してくるわけだ。
……あ~~~~~~あ。
こりゃ二か国で開催する大会は、俺が卒業してから……少なくとも二年間はガルガント王国側が好成績を収めそうだな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます