その時は焦る
さぁ、やって来たよ王城。
一回来てるけど……本当に大きいよな。
アルガ王国の王城と比べてどちらが大きいかはちょっと分からないけど。
というか、向こうはバカ王子が暴れたら壊れてる筈だよな。
それとも王城の作りなら、そう簡単に外から丸分かりなほど壊れることはないか。
「ラガス坊ちゃま、緊張しているのですか?」
「そりゃ初めてじゃないとはいえ、王城に入るのは緊張するだろ。メリルは緊張しないのかよ」
「ラガス坊ちゃまがおっしゃる通り初めてではありませんからね。そこまで緊張はしませんよ。普段通りにしていれば良いのですから」
普段通りに、ねぇ……俺の後ろで立ってるだけだから、特に緊張する必要はない、か。
今回訪れた理由はバカ王子での一件について、一応俺たち当事者からの報告。
それと……アルガ王国と合同で行う大会について、俺から話す……まっ、俺も楽しみではあるから俺から伝えるのが一番か。
「既に国王様がいらっしゃいます」
「分かりました」
メイドさんに客用の一室に案内され、ノックすると中から返事が返って来たので中に入る。
「失礼します」
「久しぶり……ということでもないな。まぁ、まずは座ってくれ」
「はい」
傍に立っているメイドさんが入れてくれた紅茶を飲み、菓子を口に入れる。
やっぱり王族が提供するものだけあって美味い。
まぁ、メリルが淹れる紅茶も美味しいけどな。
「さて、長旅お疲れ様。本当に苦労を掛けた」
「い、いえ。元々面倒事を寄こしたのは向こうなんで。それに、面倒事に巻き込まれたからこそ、手に入った物もあるので。だから頭を上げてください」
俺たちに迷惑を掛けたから、頭を下げる。
当たり前の流れに納得は出来るけど、やっぱり国王様に頭を下げられるのはちょっとな……別に傍に立っているメイドさんが殺気を向けてきたりすることはないんだけど、居心地が悪い。
てか、本当に良い物が手に入った。
アルガ国王様から大金とマジックアイテム。
ガルガント国王様からも超大金と、バッチリ望みの品をくれた。
空間魔法のアビリティ結晶。
そしてセルシアにはランク九の細剣、紫電崩牙。
なんだかんだで、裏の連中が俺たちを襲ってくることはなく、フェリスさんの力が解放されることもなかった。
……今回の一件の最中で、結果的にフェリスさんが力を振るうことなく終わったことが、心の底から安心した内容かもな。
向こうが何かを仕掛けて来たら、そりゃアルガ王国側が悪いんだけど……さすがに王城や王都を壊滅させるのは気が引けるというか……普通に可可哀想と思ってしまう。
「報告で聞いてるよ。とても満足出来る品だったようだね」
「えぇ、そう簡単に手に入る物ではありませんでしたから」
「私も、同じです」
俺が要望した品は造れる物ではなく、ダンジョンの中から入手するしかない。
宝物庫に眠っていたのは幸いだっただろうな。
セルシアが貰った紫電崩牙の様な至高の一品。
職人の手で造れるとしても、並みの素材ではセルシアの要望には届かない。
全体的に見れば大きなダメージではないだろうけど、俺たちの要望に直ぐ応えなければならない。
それは向こうにとって焦る内容だったのは間違いない筈だった。
「そうか、それは良かった。さて……報告では第三王子を完膚なきまでに叩きのめしたと聞いているが、本当か?」
「えぇ、本当です」
これに関しては全く言葉を濁す必要はないだろ。
ガッチリとガードを固めたり、スペックを高めてたけどかなりガチで倒しにいったからな。
マジックアイテムなんてクソ食らえだって感じで潰した。
「その……詳細を話した方がよろしいでしょうか」
「うむ、そうだな。ある程度は聞いているが、是非ともラガス君の口から聞きたい」
「それでは……」
魔弾の細かい部分については話さないが、どんな感じでその時どうやって潰したのか……そして第三王子のこれからを潰したのかを伝えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます