面白そうな案ではあるが

「ま、まぁそうなるかもしれないな」


おそらく、そんな重要な大会を行うか否かを決める会議には、国王以外の人たちも参加する筈だ。

アルガ国王は俺が学校に在籍する間に大会を開催するかどうかは、絶対に迷う筈。


こちら側の人間にその点をしてきされたとしても、そう簡単に挑発には乗らないだろう。

一応自分の息子がボコボコにされる様子を近くで観てたわけだしな。


でも、会議に好戦的な人も参加するだろうし、その点を突かれたら一気に沸点まで達して挑発に乗ってきそうだな。


「シュラにしては良いことを言うじゃないですか。その意見に賛成です。もしアルガ王国側がラガス様が在籍している間の開催を渋れば、ボロボロに負けるのが怖いのかと挑発すれば直ぐに乗ってくるでしょう」


……メリルがそこまで言うなら、多分その流れで色々と上手くいくんだろうな。


「そうか……それで、二人はそこに執事とメイドも参加出来る枠が欲しいってことだな」


「えぇ、その通りです。普段はあまり観ることがないメイドや執事の戦いを観れば、観客たちのテンションも上がると思いまして」


「……ぶっちゃけたところ、お前らも楽しみたいってだけだろ」


「うっす!!!!」


元気良く返事しちゃってるよ。

メリルが余計な事言うなよって顔してるけど、メリルも似た様なこと考えてるんだろうな。


けど、その提案はなしじゃないな……実際にガルガント王国では生徒たちの前哨戦として、メイドと執事だけの大会を行ったわけだし。


「俺としては、それはそれで面白そうだと思うが……それだと、ちょっと小細工する家が現れるんじゃないか?」


生徒たちは、きっちり年齢別に学年を分けられている。

故に才能という壁は存在するが、生きてきた年齢は変わらない。


でも、生徒たちの護衛兼お世話係として一緒に行動する執事やメイドには、基本的に年齢制限がない。

それを考えると……どう考えても勝ちに行くとする家が現れると思うんだよな。


「あぁ、なるほど。確かに姑息な手を考える家が現れるかもしれませんね。ですが、そんなことをすれば他家から白い目で見られるのは確実でしょう。ただ、一応制限を加えるのであればニ十歳以上の執事とメイドは参加禁止と定めればよろしいのではないでしょうか」


「年齢制限をすれば一応大丈夫、か……絶対とは言えないけど、ある程度はまともになるか」


年齢制限をニ十歳までにすれば、シュラとメリルも出場できるから丁度良いといえば良い感じか……でも、なんだかんだで大会中の存在が俺と似た様な感じになると思うんだよな。


年齢が参加者中のトップではないと思うが、実力は他の執事やメイドと比べて抜きんでていてる。

メイドや執事には他家の家督を継げない令息や令嬢が就職するってこともあるから、努力して才能がある人はそれなりにいるんだろうけど……やっぱり二人ともレべチなことに変わりないからな。


「でもさ、何だかんだで二人が圧勝するんじゃないの?」


「それは……分かりませんね。私たちより年齢が上の者も参加するでしょうから、圧勝とまでは……」


全て圧勝できるかは分からないが、それでも負ける気は一切無いって訳だ。

実際にメイドだけの大会では圧勝してたしな……手札を全て見せてないし。


「ラガスさん、どうせなら主人と従者二人が一緒に参加する三対三の戦いとかどうっすか。結構面白いと思うんすけど」


「…………シュラ、それはもはや虐めになると思うぞ」


「えっ!? そ、そうっすか?」


やっぱりいつも良い考えを出せはしないか。

確かに従者を加えた三対三のバトルは面白そうとは思う。


三対三で戦うなら、ダブルス以上に連携力の高さが重要になる。

三人の中で一人だけ強くても、他二人があっさり負ければ数の暴力で負ける可能性は十分にある。


でもさ……俺たち三人が組めば、どう足掻いても相手は勝てないだろ。


シュラが前衛で俺が中衛、そしてメリルがサポートメイン。

それか俺が攻撃メインでシュラはタンク、メリルが糸と毒で妨害。


シュラだって中・遠距離攻撃が出来るし、全員が色々と出来る。

メリルもそれが分かってるから、あんまり賛同できなさそうな顔をしてるんだろうな。

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