本当に良い暇つぶし
「はぁ、はぁ、はぁ……また、負けか」
「激的に成長するってのは殆どあり得ないからな。この短時間でいきなり強くなって俺たちを倒すってのは無理な話だ」
夕食の時間になるまで何度も何度もローテーションで戦ったが、俺やメリルたちが負けることは一切無かった。
ただ、それはフォロスたちが弱かったからではない。
偶に危ない! って思う瞬間もあったしな。
アルガ王国に将来有望な人材がいるってことは分かった。
それに俺たちと同じ歳……つまり一年生でこれだけ戦えてるんだ。
二年生や三年生はもっと戦える奴らがいるってことだろ。
やっぱりバカ王子が超馬鹿なだけで、結構粒は揃ってるんだろうな。
「そう、だね……ねぇ、まだもう少し、王城に留まってるんだよね」
「あぁ、用事が済むまでまだ時間が掛かるからな」
今日は素材集めに時間を使って、明日から鍛冶作業に入るってところだろ。
ただの細剣じゃなく、最低ランク七以上の細剣。
つまり、王族が迷惑料として払うのだから実質ランク八以上の細剣を用意しなければならない。
造り終わるまでに二日か三日掛かってもおかしくない。
……いや、そもそもめぼしい素材を見つけたとしても、一日以内に王都へ届けることができるか?
この世界には車や飛行機はない。
ヒポグリフやグリフォン、ワイバーンなどの空が飛べて力もあるテイマーに依頼して持ってこさせるなら可能かもしれないが……もしかしたら素材が届くのは明日の昼とかかもしれないな。
「それなら、また明日も僕たちと模擬戦をしてくれないか? もちろん、一日分の料金は払う」
律儀だな。
別に俺としては楽しく時間が潰せたからこれ以上貰わなくても良いんだが……貰えるなら貰っておくか。
楽しく時間を潰せて金貨十枚貰えるんだ。
普通に考えれば美味し過ぎる内容だよな。
「あぁ、分かった。また明日も模擬戦をしよう。時間は……昼過ぎに来てくれ」
「ありがとう! それじゃあ、また明日」
ドレッグさんたちとバチバチやってるのも楽しいけど、フォロスたちと楽しく模擬戦するのも悪くない。
……向こうは本気で俺たちに勝つ気で挑んでるだろうけど。
「お疲れ様っす、ラガスさん」
「シュラもお疲れ。どうだった、フォロスたちの実力は」
「……悪くはなかったっす。ただ、単純な実力ならリーベさんの方が強かったっすね」
「あぁ~~~、確かにそれはそうだな」
リーベが俺たちと出会う前なら話は変わってくるが、今のリーベとフォロスたち四人が戦ったら、四戦ともリーベが勝つだろうな。
渡したレイジファングを抜きにしても、今のリーベは超強い。
完全に学生レベルを超えている……は、ちょっと言い過ぎかもしれないが、学生の中でもトップクラスの実力を持ってるのは間違いない。
そういえば、ライド君との戦いが終わってから少しは時間が経ったけど……もう立ち直れたかな。
「……ラガス、何を考えてる、の?」
「いや、ちょっとな。セルシアは今日の模擬戦、どうだった」
「ん~~~~……悪くは、ない。良い今暇潰しになる。そんな、感じ」
「そ、そうか」
ストレートに言うな~~~~。
まぁ、俺も同じ感想なんだけどさ。
ただ……今のセリフをフォロスたちが聞いたら露骨に肩を落として落ち込みそうだな。
というか、今思ったんだがガルガント王国の学生とアルガ王国の学生同士で国際大会みたいなのを行ったら、絶対にうちが圧勝するよな。
二年生だけって限定されたらちょっと分からないけど……一年生限定なら俺やセルシア、リーベがいる。ジークだって貴族の令息や令嬢の中なら跳び抜けてる。
後はダブルスに出てた槍使いの人と……魔法の腕だけならイーリス・リザードも強い。
三年生だってアリクやクレア姉さん、会長にイーリス・リザードの先輩であるレーシア・ラージュさん。
今回みたいな問題が起きたからこそ、そんな大会を直ぐに行うことはないだろうけど……起きたらアルガ王国の顔に泥を塗りまくる結果になりそうだ。
「ラガス坊ちゃま、急に黙ったと思ったら悪い笑みを浮かべていますが、いったいどんな悪いことを思い付いたんですか?」
「悪いことって決めつけるなよ」
別に実行しようとも考えてないし……実行したらきっちり勝利を収めるけどさ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます