勿論用意出来るよな?
豪華な馬車に乗り込み、いよいよアルガ王国に向けて出発。
「ラガス坊ちゃま、先程からニヤニヤとしていますが。セルシア様がおっしゃった通り、何か良い考えが浮かんだのですか?」
「あぁ、我ながら良い考えが浮かんだなと思うぞ」
「それは気になるっすね。いったいどんな案が浮かんだんっすか?」
「それはな……今回俺が無理矢理向こうに呼び出された礼として、空間魔法のアビリティ結晶を貰おうと思ってな」
アビリティ結晶を使用すれば、圧倒的な才がなくとも空間魔法を覚えることができる。
そうなれば俺もこんな中が広い馬車や、アイテムポーチやアイテムバッグを造ることができる……うん、そう考えるとちょっとワクワクしてきたな。
「なるほど、そのような事を考えていたからニヤニヤしていたのですね」
「良い案っすね。いくら一国の王であったとしても、かなり無理矢理ラガスさんを自国に呼んだんっすから、それぐらいの対価は払って当然っすよね」
「そういうことだ……ふっふっふ、それを考えると寧ろ呼んでくれて有難うと言うべきか……おバカな第三王子に対して段々感謝の念がでてきたな」
「でも、潰して呪うんだよね」
「あぁ、勿論だ。そこは変わらない」
しかし脅しとかそういう行動をせずに空間魔法のアビリティ結晶を貰えるとなると……ボコボコにするのは確定として、呪いは少し緩めるか?
髪の毛が抜ける呪弾は使うとして……あそこの毛が全部抜けてしまう呪弾だけは撃たないでやるか。
いや、もしかしたらまだあそこの毛が生えていないか?
……まっ、緩めるか否かはその時の気分で良いか。
どうせ暴言を嫌ってほど浴びせられるんだろうし。
「しかしラガス坊ちゃま、アルガ王国の王族が空間魔法のアビリティ結晶を持っているとは限りませんよ」
「そうか? 宝物庫に一つぐらいおいてありそうだけどな。まぁ……持ってなかったら王族の失態を払しょくするために頑張って用意してもらわないとな」
「悪い笑みを浮かべていますよ。全く……ただ、そうなる可能性はあり得ますね。しかし既に向こうが礼の品を用意しているかもしれませんよ」
用意してはいるだろうな。
どんな品なのかは知らないけど、王族の失態を許して欲しいという意味での品……の筈。
そう考えればそれなりに良い品や高額の金を用意してるんだろうけど……基本的にいらないな。
貰える物は貰っても良いけど、今欲しいのは空間魔法のアビリティ結晶だ。
そこは譲らない。
「元々向こうの第三王子がこっちに迷惑を掛けてきたんだ。ガルガント国王様がこちらの力不足で迷惑を掛けて申し訳ないってことで良い物をくれたんだ。元凶の発端である向こうが俺の欲しい物を用意するぐらい、当たり前じゃないか?」
「当たり前か否かでいえば、当たり前かもしれませんが……そうですね。向こうは世界の基本的にルールにギリギリ反することをしたので、それぐらいの要求は通るでしょう」
空間魔法のアビリティ結晶がアホみたいに高いのは知っている。
ただ、それこそ王族の財力を考えれば用意出来ないことはない筈だ……もし用意出来なかったら、今回の件をハンターとして活動する時に行く先の街々で言いふらしてやる。
「さすがラガスさんですね。容赦なく相手の痛いところを突く……素晴らしいです」
「ありがとうございます」
褒められてるんだよな? だって今回の件はどう考えても相手が悪いんだし、痛いところを容赦なく突いても非難されることはない。
「にしても……この馬車、全く揺れないな。尻が全く痛くない」
「その辺りも上手く調整しているのでしょうね。この箱を造った錬金術師の腕の高さが伝わってきます」
そこらへんも錬金術でなんとかなるのか。
そういえば前世の技術で尻の痛みを軽減する技術があったよな……造る機会があるかわからないけど、頭の片隅に置いておこう。
「アルガ王国に向かう事情が事情ですからね。本当に良い馬車を用意してくれています」
箱を引いているバレッドホースの体力を考えれば、長時間移動できる……コンバットドールを造れたんだし、コンバットホースとか造れそうだな。
魔靴の生産も楽しいけど、そっちも色々と研究してみるか。
無理矢理隣国に行かなきゃならないって分かった時は怒りしか湧かなかったけど、案外楽しい旅行になりそうだな。
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