考え事をしていたら一瞬で……

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」


「お疲れ様。やったじゃん、一人でオーガを討伐。普通に考えれば偉業達成だ」


「……流石に、常に死の予感が、絶えなかったぞ」


リーベはオーガと五分ほど戦い続けた結果、大きな傷を負うことなく倒すことが出来た。


こいつの年齢を考えれば、オーガをソロで倒すのは困難な内容だ。

ただ、持っている手札を使って無事に倒せた。


まだ魔力にも余力はあるし、十分な結果だ。


「ほら、魔力回復のポーションだ」


「すまん、助かる」


「それぐらい良いってことよ。さて、俺はこいつを解体するからセルシア、周囲の警戒を頼んでもいいか?」


「勿論、任せて」


オーガの魔核はそれなりに価値がある。

肉も固めだが、じっくり焼けば食べられる。というか、普通に美味い。


皮も防具や盾の素材として使える。

糸に変えれば見た目では分からない程、頑丈な服が作れる。


……コボルトの肉は臭みをとれば食べられる。オークの肉はマジで美味しい。

本当に通常種はDランクなのかと疑問に思う。


オーガも少々固いが、柔らかくする方法はある。


なのに……なんでゴブリンの肉は超不味いんだろうな。

ゴブリンキングには遭遇したことないから知らないけど、通常種やその上位種は……しっかりと焼いても何故かこう……絶対に食べてはならないって直感が脳に伝えてくるんだよな。


「よし、解体終了。リーベ、体力の方はどうだ?」


「……もう少しだけ休憩させて欲しい」


「オーケー、もうちょい休んでから良い感じのモンスターを探そう」


自分達に向かってモンスターが襲ってこないか警戒しながら十五分ほど体を休め、再びリーベの良い相手になりそうなモンスターの捜索を開始。


ただ、中々丁度良いモンスターが見つからず、一時間程が経った。

その間に全くモンスターに遭遇していない訳ではない。


仮想ライド君になるモンスターと中々遭遇しない。

ゴブリンやフォレストモンキー、グリーンキャタピラーなどなど……大して強くないモンスターにしか遭遇しなかった。


魔核はきっちり回収させて貰ってるけど……そろそろ人型のそこそこ強いモンスターと遭遇したいな。

明日も普通に授業があるから夕食前には帰りたいし。


「……ラガス、少し離れた場所から……モンスターが、迫って来てる、よ。多分、人型、だと思う」


「マジか!! 今度はある程度戦えるモンスターだと良いな」


確かに聴力を強化して調べて見たら、二足歩行……足音がそれなりに重い。

このまま時間が経てば俺達の方にやって来るな。


「リーベ、丁度良い敵が現れたかもしれない」


「そうか。体力も問題無い。いつでも行けるぞ」


よし、調子は良さそうだな。

魔力量も大丈夫そうだし……おっ、来た来た。


あれは……ワイルドベアか。

Dランクだけど凶暴性が他のモンスターと比べて高い。


その筈なんだが……もしかして誰かと戦った後なのか?


体に斬り傷と火傷の跡がある。


「ハッ!!!!」


あっ、突っ込んじゃった……まっ、しょうがないか。


誰かから逃げて来たのかもしれないけど、ワイルドベアは俺達を殺す気満々なことに変わりはない。

というか、戦ってるモンスターと逃がしたら二次災害になるかもしれないし、俺達が倒しても文句は言われない。


それに、ハンターのルールに従ったとしても、最後にモンスターを倒した人物、パーティーにモンスターの所有権がある。


「ラガス、もう終わっちゃった、よ」


「えっ! あっ……本当だ」


マジかよ……傷を負ってたとしてもランクDのモンスターだから、そう簡単には倒せないと思ってたんだけどな。


「爪撃を避けて、正拳をぶち込んだ。その後に、魔靴の刃を使って、ズタズタ……って感じだった、よ」


「確かに腕とか首が綺麗に斬られてるな」


結構遠慮なく攻撃したっぽいな。

ワイルドベアが焦って身体強化系のアビリティを使う前に終わってしまったのか……強化していないなら、レイジファングの切断力で十分斬れる。


万全の状態だったらもう少し良い戦いが出来たかも……まっ、今はそんなことよりもワイルドベアを追ってきたハンターたちの対応を考えるべきだな。

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