それなりに持っている
結局昼食を食べ終えた後、メリルとシュラと一緒に街へ繰り出すことにした。
「限界突破、ですか……改めてナチュラルな怪物ですね」
「それなりに訓練は積んでいると思うけど……才能の大きさは感じるよ」
俺も神から特別なアビリティを貰った……今のところ上手く使えてるから、それなりに才能はあると思う。
てか、自我が芽生えるのが圧倒的に早かったから、自分の才能を使いこなすだけの時間が十分にあった。
でも……ライド君は違う。
ただの一般人……いや、ただの一般人という言葉には語弊があるな。
しかし俺みたいに早くから本格的な訓練を始めてはいない……貴族の子息や令嬢みたいに、幼い頃から英才教育を受けてきたとは思えない。
にも拘わらず、あのアビリティの質と数……あれが愛の力がなせる結果なのか?
「あれは……生まれながらにして主人公って感じだ」
「生まれながらに主人公、すか……他人から見たら人生楽勝じゃないかって思われるかもしれないっすけど、本人はそれなりに苦労を積んでそうっすね」
「まぁ、それはな……俺は今回リーベの味方だけど、ライド君の努力を否定するつもりはないかな」
実際に会った時、手を見たら解かった……あれは何千回、何万回、何十万回と剣を振ってなきゃ変化しない掌だ。
リーベが悪い意味で貴族らしい奴なら、絶対にライド君を応援してたんだけど……努力の量ならリーベも負けてないしな。
「ただ、今回俺はリーベの味方だ。そんで……ちょっと向こうのスペックがヤバいから、こっちも手札を増やすってことだ」
「その為の魔靴ですね……体術を磨き上げてきたリーベ様には合うでしょう」
「だろ? こんなところで俺の錬金術が役に立つとは思わなかったよ」
魔靴が造れたんだし……籠手バージョンも造れる、よな。
どうせなら……いや、流石にリーベの決闘で試すには時間が短すぎる。
というか、リーベを実験台に使うのは気が引ける。
そうだなぁ……決闘が終わったらちょっと付き合ってもらうか。
つか、籠手なら既に武器としてありそうだよな……まっ、そこら辺は気にせずに造ろう。
それより今はリーベの魔靴の為の素材集めだ。
大体Cランクぐらいの素材があれば十分……てか、流石にそれ以上の素材を使うと過剰サポートになりそうだしな。
「いらっしゃい……これはこれは、ロッソ学園のラガスさんじゃないですか」
「俺の事を知っているんですか? というかさん付けはむず痒いんで止めてください」
「はっはっは! 今、この王都であなたの名前を知らない人は殆どいないと思いますよ。それと、さん付けは癖なので見逃してください」
まぁ、一応大会で目立ってはいたから、関係を持ってない人が俺を知っていても不思議ではないか。
「自分はあの大会を運良く前で見れたんですよ。もちろん、ラガスさんの戦いぶりも見せて貰いました。何と言いますか……修練の積み重ねを感じましたよ」
「……それは嬉しい感想ですね」
この人、戦闘職じゃなくてもある程度解かる人なのかもな。
「ラガスさんはそこまで驚く事をしていませんでした。ただ、普通の行動レベルが他の生徒達と比べて高かった……そんな印象を持ったんです」
「そうですか……個人的には嬉しいですよ、本当に」
いや、真面目に嬉しいと思っている。
大抵の奴は才能が違う~、俺とあいつとでも元が違うんだ~ってほざいてるけど、気付いてくれる人は気付いてるんだなぁ~……ちょっと感動した。
「それで、今日はちょっと訳あって魔石やモンスターの素材を買いに来ました。出来ればCランクモンスターの素材が好ましい。爪や牙が特に欲しい」
「なるほど、少々お待ちください」
すると一分後には店主がお勧めする素材がカウンターに並べられた。
「こちらがお勧めの品になります。ブラックウルフ、ヒポグリフ、コボルトジェネラル、リザード、ワイルドタイガーの爪、牙……そして魔石になります」
……うん、全部本物だな。
俺を騙す様な人ではないと思うけど、やっぱり一応鑑定はしておきたい。
本当に狼竜眼様々だ。
「良質な素材を揃えていますね」
Cランクモンスターの素材や魔石をこれだけ揃えられてるってことは、それなりにこの店が繁盛してるってことなんだろうな……何故か今は一人もいないけど。
「複数品買っても、ラガス様なら買えますね……私達の方からも少し出しましょうか?」
「いや、大会で得た賞金とかは自分達の為に使ってくれ」
というか、金に関してはそこそこある。
無駄遣いしようとは思わないけどロウレット公爵、リザード公爵家の当主から報酬としてそれなりに頂いたから、これぐらいな複数品買ってもそこまで財布にダメージはない。
さて……じっくり選ばせて貰おうか。
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