一か月の内容
「そういう訳だから、二人にも付き合ってもらって良いか」
「全然構わないっすよ。超面白そうなんで」
「そうですね……私もシュラと同じく面白そうという気持ちが強いので、リーベさんの特訓にお付き合いします」
多分手伝ってくれるだろうとは思っていたが、随分とあっさり了承してくれたな。
二人共友達と遊んだり等の用事が多少はあると思っていたんだが……最悪俺一人でも大丈夫だし、そこはキッチリ伝えとかないとな。
「二人共同級生から何か誘われたりしたらそっちを優先して良いんだからな」
「あぁーー……了解っす。でも、ラガスさんが同級生から受けた依頼、本当に面白そうじゃないっすか。だからそれを手伝いたいって気持ちが強いっす」
「そうですねぇ~……お誘いを全て断りはしないと思いますが、やはり小説でしか聞かないような話が身近に寄ってきた分かれば、そちらを優先したくなります」
うん、二人の気持ちはちょ~良く解る。
俺も異世界だからこういった婚約騒動の話はどこかで起きてるんだろうなとは思ってたけど、こうやって自分の元に騒動を解決するために力を貸して欲しいって依頼が来るとは全く思ってなかった。
あっ……俺がジークとセルシアの婚約を結果的に破棄したあれは……しょうがないよな?
俺が望んでああなった訳じゃない。それにジークとは騒動って言うほどことが大きくなってないし。
「二人の気持ちは良く解った。まっ、好きな様にしてくれ。それでリーベには既に伝えてるんだが、平日はここで俺達三人でリーベの訓練に付き合う。そして休日は街の外に出てモンスターと実戦訓練だ」
「訓練してから成果を実戦で発揮するって流れを重ねるんすね」
「基本的にはそれが一番効果的だと思うからな。訓練に関しても模擬戦を重ねて……俺は魔弾の操作も教えてって感じだな」
一か月の間にどれだけ伸びるかは解らないけど、リーベの眼はマジで本気だった。
順調に進めばそこそこパワーアップする筈だ。
ただ……ちょっと主人公気質な幼馴染君のことを考えるとトレーニングだけの成果では少々不安が残るな。
「いきなり難しい顔になったっすけど、何か問題でもあるんすか?」
「問題……確かに問題かもな。説明に出て来た幼馴染君は少し主人公気質なところがあるんじゃないかって思ってな」
「主人公気質と言いますと、気持ちの強さで戦闘中にも拘わらず急激に強くなる……といった内容ですか?」
「そう、それだ。俺の考え過ぎかもしれないが、そういった現象が起こる可能性もある。俺の考え過ぎかもしれないけど……用心しておいて損はないだろ。主人公気質な奴じゃなくても特待生で入学してるんだし、実力は確かだろ」
「そうですね……特待生ともなると、並みの貴族の子息や令嬢では敵わないかもしれない。それを考えれば手札をいくつか用意しておいた方が良さそうですね」
メリルの言う通り、いくつか手札が必要だ。
魔弾の操作だって上達速度によっては良い手札になる。
それと扱う武器も何か特殊効果がある魔剣が好ましい。
「武器に関しては既に良い者を持っているならそのままで良いんだが、場合によってはリーベの財力で何とかした方が良いかもな」
「……そこで差を付けても良いんすかね?」
「貴族と平民だからそういったところは平等にした方が良いってことか?」
「そんな感じっす。それでも勝っても戦った本人とその婚約者が納得するかが心配というか……」
ん~~~……武器の性能で勝ったとしてもアザルトさんの方は変えに出さないけど、納得はしなさそうだな。
でも、ハンターの道を進むならやっぱろお金は重要なんだと気付き、そこまで不屈にはならないか?
リーベに関してはそこら辺は納得してくれそうだけどな。
そういう手も使わなければならないってのは解ってそう……だと思う。
「リーベの目的は幼馴染君に勝ってアザルトさんとの縁を切らせることだ。そこを躊躇するようなヘタレじゃないだろ。それに良質な物を身に着けるのは剣だけだ」
「そうっすね。財力も手札のうちってことっすよね」
「あんまり派手な物は用意しない方が良いかもしれないが、状況を変える一手になるのが好ましい」
この決闘の結果がとうなろうとも俺達に殆ど影響は無いけど、鍛えたりアドバイスするからにはやっぱり勝って欲しいから出来る限りのことはやらないとな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます