まさかの瞬殺劇
「ぬあっ!?」
そのままニーナを圧し潰し、地面へと叩きつけた。
「が、はっ!!!」
「ふっ、飛べ!!!」
その瞬間に速攻で背後へ回り、浮いた背中を場外に狙って蹴りつけた。
「ぜぁあああらッ!!!!!」
「ッ!!!!!」
自分の体の中で何が起こっているのか解らない。
だが、いつも以上に力が出ているのは間違いなかった。
そんな脚力で思いっきり蹴ったニーナはそのままリングの外へと飛んでいき、壁に激突した。
「ふぅーーー」
一瞬の出来事だったからか、観客達が無反応だな。
でも、場外は場外だ。
審判がカウントを始める。
観客からは悲鳴に近い声も聞こえるが……とりあえず無視だな。
そして無事……テンカウントが経ち、俺の勝ちが決まった。
ラガス視点
いやぁ~~……あっさりと終わらせたな。
「あれ……多分、立ち上がれない、よね?」
「あぁ、どう考えても立ち上がれないと思う」
確かにアリクはアウェイな状況に立たされてはいたが……本来の実力が発揮された?
にしても試合内容が圧倒的過ぎる気がするな。
相手の生徒が弱すぎたとは思えない。
ある程度の強さは持っていた筈だ。
「……もしかして、闘炎か?」
「それ、本当?」
「ただ単に身体能力だけで圧倒したって感じではなかった。だとすれば、無意識に闘炎が溢れ出ていた……様に見えなくもなかった」
闘気を炎に変えた力が闘炎。
とはいっても、魔力を火に変えたように直接攻撃が出来る訳じゃない。
簡単に言えば身体能力の向上系……まっ、種類によって何が向上するかは分かれるんだけどな。
「……凄いね」
「だな」
火魔法を使える人と闘炎を使える人では圧倒的な差がある。
勿論火魔法を使えるとは言っても、その枠の中では大きな差がある。
ただ、闘炎に関しては闘気を扱える者達でも殆どが手の届かない能力。
闘炎はアビリティじゃない。だから一度発言したとしても今後上手く扱えるかは努力次第だな。
「にしても、アリクの身体能力に闘炎って……はっはっは、流石に相手の生徒が可哀そうだったな」
前衛タイプの学生の中でもトップクラスの身体能力を持つアリクが闘炎を使用すれば……エリートが相手でも敵いやしない。
それこそ、リース会長並みの飛び抜けたエリートじゃなきゃ話にならない。
まっ、それは完全に扱えるようになってからだけどな。
「テンカウント、勝ったね」
「あぁ、とりあえずこれで勝ったも当然だな」
俺の対戦相手はもしかしたらあの人かもしれないけど、だからって負ける気はしない。
いつも通り勝つだけだ。
それに、他の先輩達が負けるとも思えないしな。
「お疲れ様、圧勝だったな」
「おう……なんか、体から炎が溢れ出た様な感覚があってな。そしてら一瞬で勝負が終わったよ」
「そりゃ闘炎だろうな」
「……マジか?」
「マジだと思うぞ。体から炎が溢れ出る、そう感じたのならそれは絶対に闘炎だと俺は思うぞ」
「私も……あれは単なる身体強化、だけの動きじゃ無かった、と思います」
闘気を操れる人の中で感度が高い者ならなんとなく解ると思う……いや、解らずとも違和感を感じた人はいる筈だ。
「というか、今更だけど瞬殺しちゃったな」
「別に殺してはいねぇよ。ただ、闘炎のお陰で上手くいった……しまったな」
「ん? なにかやらかしたのか」
相手の女子生徒は確かにかなりのダメージを受けているとは思うけど、別に一生傷が残ったり意識不明の重体とかではないんだから問題無いと思うが。
「いや、瞬殺しちまったら学園のお偉いさん達が頭を悩ませるんじゃねぇかと思ってよぉ」
「……ぶふっ!! た、確かにそうだよな」
セルシアもそこら辺も気にして三分以上は戦っていた。
最後には予想外のハプニングもあったが、きっちりと勝利を収めた。
だが、いつも以上の動きができてしまったっていうのもあるが、十秒も経たずに試合を終わらせてしまったからな……まっ、今回は単純にしょうがないだろ。
「でも、そういう試合が一試合あるぐらい大丈夫だろ」
「そうか……そうだよな。とりあえず勝ったんだし問題は無い筈だ」
そうそう、終わり良ければ全て良しだ。
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