話にならない
魔弾の数を二つに増やしてさぁ、勝負だ!! って一瞬気持ちは高ぶった。
高ぶったんだけど……俺が予想していたよりもしょぼいな、ダブルスの選手って。
「ラガス、私達って……酷い?」
「いいや、そんなこと無いよ。単純に、あいつらの力量が低いだけだ」
魔弾っていうのは、人によっては殺傷力を無くして打撃メインの攻撃にすることが出来る。
俺もそれが可能だ。同じ一年生が持つ防御力ならぶっちゃけ貫通力を強化したり回転を加えなくても体を貫通することが出来るはず。
でも、それはまだ学生にするのはちょっとなぁ……別に物凄い憎い相手って訳じゃ無いし。
だから打撃メインに切り替えて二つの魔弾を使って攻撃してる訳だが……それだけで圧倒出来ちゃってるんだよな。
「くそ、男なら! 剣を持ってるなら、剣を使って戦えよ!!!」
「くっ、なんで……こんな、魔弾なんかに」
二つの魔弾、それを操るだけで相手は俺達に近づけないでいる。
かなりの魔力を込めている魔弾でなければ剣で斬られた後にくっつけて再び動かす、なんて事は出来ない。
今操っている魔弾なんてぶった斬られたら再生は無理。
なんだが……相手の前衛男子君は俺が操る魔弾の動きに全く付いて来れていない。
真正面から交互に、もしくは同時に攻撃することもあれば、背後から攻撃することもある。
前衛タイプだからもう少し動けるのかと思っていたけど……ちょっと期待外れだな。
流石に後ろからの魔弾に全く反応出来ていないという訳じゃ無い。
でも、後ろに集中したら前がおろそかになる。
前からだけの攻撃にしても全く反撃出来ない。
まっ、魔弾の移動速度を上げてるのは俺自身な訳だし、相手が悪いって感じか。
それにしてもセルシアは魔弾を上手く操るようになったな。
相手が接近戦には弱そうな後衛職タイプだからってのもあるけど、何もさせていない。
基本的に遠隔操作は慣れるまで指を動かして行うものなんだが……完全に使いこなしている。
「なぁ……あいつらは何か持っていると思うか?」
「ん~~~……分からない。勝気はあると、思う。でも、私達が期待する何かは、持っていない、かな?」
だよな。ダブルスでは負けないって感じの強気なセリフを吐いていたと思うんだが……どちらにしろ技量が低い。
無詠唱のアビリティを習得しているなら初級魔法で魔弾を潰すことが出来る。でもそれをしないって事は、無詠唱のアビリティを習得していないと言ってるようなもの。
まぁ、無詠唱で攻撃魔法を放てたとしても魔弾を捉えられるかどうかは話が別なんだけどな。
一応相手お二人は身体強化のアビリティを使ってるみたいだけど……練度が低いのかな? それとも実戦経験が足りないのか……うん、もう興味は完全に失せたかな。
これ以上何かを期待する価値は無いと思う。
「もう、これ以上相手をする意味は無いと思うんだけど……どう?」
「……うん、私もそう思う。これ以上……戦う意味は無い。私達も、お客さんも……求めてない、と思う」
だよな。そうと決まればさっさと終わらせよう。
魔弾顎に掠らせて脳を揺らす。
「な、あ……」
「あ、れ?」
二人はそのままダウン。
「チャンス、だね」
そしてセルシアがライトニングボールを二つ放ち、そして直撃。
脳が揺らされてまともに対応出来なかったので、モロに食らって動けなくなる。
審判がダウンと判断し、テンカウントが始まる。
もう起き上がることは出来ないだろうな……だって脳が揺れて体が痺れてって状況だし。
それにしても・・・・・・まさかダブルスに参加する生徒達の実力が全員こいつら程度って訳は無いよな?
強くても弱くても別に良いんだけどさ。
「ねぇ、次は……どうする?」
「次は……流石に魔弾以外で戦った方が良さそうだな」
最初は観客達も見ていて面白かったかもしれないけど、正直一分も見てれば飽きる戦いだ。
別に戦い方を求められている訳じゃ無い。寧ろ俺達に魔弾以外の手札を使わせる実力が無いあいつらが悪い……はず。
でも、それだけで相手してると俺はともかくセルシアに宜しくない被害が及ぶかもしれないし……とりあえず次の対戦相手がもう少し強いことを祈ろう
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