ダブルスではあるけど

「……相変わらず盛り上がってるな」


「そう、だね」


副騎士団長と少し喋った翌日、ダブルスの大会が始まる。

後で知った話だけど、ダブルスってシングルスに出てた選手が負傷やらなんかで出られなくなったら、控えの人が出られるんだよな。


お互いに了承してたらの話だけど。

まぁ、大会を運営している側としても出場選手が減って試合数が減るのは困るんだろうな。


「緊張、してる?」


「いや、シングルスと比べたら全然」


俺達の出番は中盤辺り。

今はセルシアと二人で序盤の試合を観戦中。


シングルスとは違った見応えがある。

ただ、地力に差がある場合は大して時間が掛からず終わってしまうけど。


「だって、セルシアと一緒に戦うんだ。負ける筈無いだろ」


「……そう、だね。ラガスと一緒なら、負ける気がしない、ね」


そう言ってくれると嬉しいよ。

シングルスでは出ていなかった選手が多いけど、やっぱり中にはシングルスで出ていてもそこそこ上に行きそうな生徒はいるな。


「皆、コンビネーションを、頑張ってるね」


「そうだな。お互いの短所を補い、長所を高めようとしている」


ダブルスだと補助系の魔法やアビリティを使える生徒は有利だよな。

自身の強化だけじゃ無くて相棒の強化も出来る。


勿論本人が戦える力が無いとちょっとあれだけど……まっ、そこら辺はなんとかしてる生徒が殆どだ。


「このダブルスに出ている生徒は、カップルが多いらしい、よ」


「・・・・・・確かに思ったより男女の組み合わせが多いな」


女学院の生徒達は必然的に女子同士で組んでるけど、他の学園……うちの学園も含めて男女の組み合わせが殆どだな。

もしかしてそういう暗黙のルールでもあるのか?


「まぁでも……俺達の敵じゃ無いな」


「そうだね。でも……どうやって戦う?」


「ん~~……一対一で良いんじゃないか? わざわざ難しく戦う必要は無い」


シングルスの大会でもそこそこ上に行く奴は確かにいる。

でも、所詮はそこそこってレベルだ。俺達には届かない。


「分かった。それで、十分だね」


「だろ、そんじゃ……そろそろ出番だし行くか」


「うん」


ようやく俺達の出番になり、まずは相手チームがリングに上がる。

シングルスからの熱はまったく冷めておらず、相変わらず熱い。


そして司会者の紹介が終わり、俺達がリングへと上がる。

すると……爆音の様な歓声が俺達に襲い掛かる。


「……耳に対策しておいて良かったな」


「ちょっと、大き過ぎるね」


「それだけ観客達のテンションが上がってるって事だ」


昨日俺達の試合を観ていたからか、何かしらに期待感でもあるのか?

まっ、俺も観客だったら同じように自分達が予想出来ない何かを魅せてくれるかもしれない、なんて期待感を持ってしまうかもな。


「……調子に乗んなよ、シングルスの一位と二位だからって、それがダブルスで通じると思うなよ」


「申し訳ありませんが、ダブルスでは負けるつもりはありませんので」


おうおうおう、随分と強気な相手だな。

いや、今までの対戦相手は大概強気だったか。


もしかしなくてもダブルスには随分と自信がある感じだな。

まぁ・・・・・・ダブルスと言える戦いになるかどうかは分からないけど。


「それは、こっちのセリフ、だよ。私達が、負ける訳……無い」


おっ、なんだか今日のセルシアは頼もしいな。

なら、俺もその強気に乗らないとな。


「そうだな。そういう自信満々な言葉は、俺達に勝ってから言えよ」


「ッ!! 上等だ、ぶっ潰してやる」


口戦はこれで終わりだ、言葉は実力で示す。


「それでは・・・・・・始め!!!!」


開始と同時に俺とセルシアは魔弾を放つ。


「「ッ!!!」」


ただ、流石に開幕一閃の魔弾は当たらなかった。

でも視た感じ男の子が前衛で女の子が後衛って感じだな。


「そんじゃ、そっちは任せた」


「了解、任せて」


あんまり嘗めてると痛い目に合うかもしれないし……弾数を増やしておくか。


「さて、俺とシングル戦といこうぜ」

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