明日も問題無い

「……結構見応えのある戦いだったな」


「そうですね。各学園のトップクラスの実力者が戦うのですから、それなりの戦いならないと各方面から不満が出るでしょう」


「ん~~~……確かに残り二つも良い試合だったけど、俺としてはラガスさんとセルシアさんの試合が一番レベルが高かったと思うっす」


「そう言ってくれると嬉しいよ」


二年生のシングルスの優勝者はイーリス・リザードが所属するフレイア女学院の生徒が優勝し、三年生のシングルスではアリクが惜しくも会長に負けてしまった。


真面目に接戦だったと思う。若干会長にはまだ余力があったように思えたけど、それでも質の高い戦いだったのは間違いない。


アリクが纏う闘気……なんか普通の闘気とは違った気がするし……まだまだ成長の余地ありって感じだ。


「まっ、明日からは一緒に戦うんだけどな」


「そうですね……というか、私としてはシングルスが終わった後にダブルスを行うのは無茶だと思うのですが」


「はっはっは、確かにそうかもな」


一応開始時間は昼からだから今日はゆっくりと寝たいだけ寝られる。

ただ、シングルスに参加していた者の中で重傷を喰らった生徒はダブルスに参加するのは厳しいだろうな。


それにダブルスには各学園がダブルス用に用意した生徒もいるらしいし……スタミナの点に関してはシングルスに出場していない生徒の方が上だ。


参加数はシングルスと同じで計四十。


・・・・・・まっ、俺とセルシアがそう簡単に負ける訳無いよな。

今回の大会でまだ戦いを観ていない相手でも特に問題は無い。


「自信のほどはどうですか?」


「ダブルスか? 俺がまだ戦いを観ていない相手が出てくるとしても特に焦る必要は無い」


「でもラガスさん、あんまりセルシアさんと連帯訓練とかはしてないですよね」


「あぁ……まぁ、確かにな」


学校内のダブルス相手では大した訓練にならない……いや、別に超雑魚だったって訳じゃ無いんだけどなぁ~。

でも特にしっかりと連帯しないと勝てない相手はいなかった。


ぶっちゃけ二対二なんだから分断して一対一で戦えば良く無いって感じで終わらせてきた。


「でも、俺達のスピードに対応出来る生徒がいるとは思えないけどな」


「分かりませんよ。ラガス坊ちゃまに目に映っていないだけで、強者がダブルスに現れるかもしれません」


「強者……ねぇ」


対戦する相手として警戒すべき相手の特徴は自分でも解っている。

スピードを優先する俺としてはそれを奪う相手が厄介だ。

それはセルシアも同じだろうな。


重力魔法のアビリティを持つ者、武器を通して鈍足を俺達に付与してくる相手。

そういう相手は面倒だなって思ってるけど……多分学生ってレベルを考えればそれを俺達に当てることが出来る相手はいない。


重力を視界全てに反映させるなんて技量は学生レベルが得られる力じゃない。

というか、視界に映る全てに重力を反映させる力も隙はあるな。


アンチサポート系の効果を相手に付与……俺の呪弾に近いアビリティを持っている人はそもそも多く無い。

それに加えて俺達のスピードに付いて来れて、呪弾に近い効果を使える人……まず学生にはいないだろうな。


「とりあえず俺には魔弾がある。セルシアも魔弾の操作には慣れてきているし、動きを止められても大丈夫だ」


「……そうですね。正直お二人を圧倒出来る学生など想像出来ません」


「俺もだ。ラガスさんとセルシアさんを圧倒的出来る学生がもしいたら、前から有名になっていただろうしな」


シュラの言う通りだな。俺はあんまに社交界姿を見せてないから実力を披露する機会なんて無かったが、セルシアは別だ。

今の大会とは別の大会でも優勝していたしな。秘匿し続けてきた隠し子的な存在ではなかったら俺の耳にも入っている筈。


ダブルス専門の生徒が出場しているのは確かっぽいけど、単体でセルシアより強い生徒がいるんて情報聞いたことがない。


何も心配する必要は無い。いつも通り飯を食べて風呂に入って寝て明日のダブルスに挑む。それだけだ。

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