判決はどのように?
「災難だった……という感じでもなかったか」
「そうですね。特に問題無かったです」
色々と問題があった選抜戦を終えた後、バレント先生に呼ばれて現在二人でお話し中。
どうやらバレント先生もヤークチュ・ドークが反則行為をしていた事を解ってたみたいだな。
「反則を行ってまで勝ちたいという気持ちは……分からなくもないが、肯定出来るものでは無い」
「それは・・・・・・ヤークチュ・ドークがそれ相応の処分を受けるという事ですか」
「そういう事だ。お前が望めば、ヤークチュ・ドークの親からある程度の金は貰えると思うぞ。まっ、それでも最終的な判断を下すのは学園長だけどな」
そりゃそうでしょうね。
でも、それなら俺に慰謝料、迷惑料的な物を払う必要は無くないか?
「・・・・・・貴族ってのは、自分の体面を気にするものだ。身内が迷惑を掛けた相手に何も詫びをしないとあっては自ら恥をさらしているようなものだ」
あら、心が読まれた。
もしかして顔に出てたか?
でも、それなら納得だ。確かに一応被害者? である俺に何も詫びをしないと他の貴族達から白い目で見られるのは確実……いや、既にもうアウトな気がするけど。
「それで、ラガスはどれくらいが妥当だと思う?」
「えっと……金貨百枚ぐらいですか?」
金貨百枚、日本円にすれば一億だ。
結構大金だと思うんだが・・・・・・どうなんだ?
「それぐらいで良いのか? 今回の件を考えればもっと得られる筈だぞ」
「そ、そうなんですか……まぁ、そこら辺はお任せします」
どれぐらいが相場なのか、相手の立場がどうなら幾らくらいむしり取れるのか、そんな事はまだ分からないからその辺りは先生方に任せよう。
金は多くあって困ることは無いしな。
「そうか、分かった。しっかりと相応の料金を渡すから少しの間待っててくれ」
「楽しみに待ってます」
「おう。それはそうと、最後にヤークチュ・ドークへ攻撃した時は随分と速かったな。別に魔闘気を使った訳じゃ無いだろ。それに体術アビリティの縮地でも無かった」
は……ははは、バレてーーら。
やっぱし解る人にはバレてしまうか。
ん~~~~、別にバレント先生は他人に話したりしないだろうから大丈夫だと思うんだが……今はまだ正確に話さないでおこう。
「奥の手の一つって事で」
「……そうか、あまり詮索のし過ぎも良くないな。話を戻そう、おそらくヤークチュ・ドークは学園から追い出され、実家から追い出されるかもしれない」
「マジですか。学園から追い出されるのは何となく分かりますけど……やっぱり家の顔に泥を塗ったからって事ですか?」
「その通りだ。まぁ……反則の度合いにもよるが、ヤークチュ・ドークが違反した行為はかなり行き過ぎているからな」
そういえば今年の一年生の中で反則がバレて厳重注意にプラスして反省内容を行って学園に残留してる人と、学園から追い出された生徒がいたらしいけど……何が違うんだ?
「学校から退学が言い渡されるのとそうで無いにはどういう理由があるんですか?」
「色々と細かい基準があるが、大きな要因は相手を殺そうとする殺意があったかどうかだ。まっ、流石にそうなる前に俺達が止めはするけどな」
それでも、気付くまで時間が掛かる場合もあるんだろうな。
ただ……やっぱり最終的にはバレて罰を喰らうか、退学になるかって選択に迫られるのに何故やってしまうのか……謎だ。
そうまでして勝ちに拘る執念があるのかもしれないが、後を考えれば全て無駄だと解かると思う筈。
でも、それが出来ないのが思春期の子供ってところか。
「今回の場合、ヤークチュ・ドークには完全にお前に対する殺意があった。まぁ……お前はそれを意図的な殺意で返したがな」
・・・・・・もうあれだね。バレント先生には何を隠しても無駄な気がする。
「殺す度胸はあっても、殺される覚悟は無かったみたいですけどね」
「だろうな。だが……ラガスはありそうだな」
「そこは想像にお任せします」
隠しても無駄な気はするけど、別に全部ペラペラと喋る必要は無い。
さて、ヤークチュ・ドークの親からの慰謝料、迷惑料的な詫びを楽しみに待ってよう。
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