言い訳は後で聞く
身体強化のアビリティに使用に加えて闘気による強化。
そして更に獣魔法、ラビットフットを使った事で加速。
もはやヤークチュ・ドークが目で捉え切れない速さだ。
予想通り掌は腹に突き刺さるように決まった。
「グバッ!!!!????」
いくら体に強化を施しても、体重まで変わるわけでは無い。
なのでヤークチュ・ドークは俺も少し驚くぐらい勢い良く吹っ飛んでしまった。
だ、大丈夫……だよな?
死んで無いとは思うが、ちょっとだけ心配だ。
いや、あんな屑の事は心配する必要無いか。
掌をモロに喰らったヤークチュ・ドークはまだ戦う気力は残っているのか、必死で起き上がろうとしている。
しかし俺の攻撃は完全に意識外から決まったようで、一切防御の構えを取れていなかった。
その結果、脚がガクブル状態になっており、テンカウント以内にリングへ戻ることは出来なかった。
「ふ、ふざげる、な。俺はまだ、負けてな「はいはいはい、後で話は少しなら聞くから今は寝てようか」アバババババババッ!!!!????」
待機していた教師によって今回の結果に納得出来ていないヤークチュ・ドークは雷の魔力を浴びせられ、強制的にシャットダウンさせられた。
あぁ~~あ、あれは多分色々と事情聴取? されるんだろうな。
「勝者、ラガス・リゼード!!!」
俺の勝利で決着の合図が出され、生徒達の半分は盛り上がっており、もう半分は俺の勝利を嘆いていた。
なにやら俺とヤークチュ・ドークの選抜戦で賭けを行っていたようだな。
そんなのがあるんだったら、自分で自分の勝ちに賭けてれば良かったな。
「お疲れ様です、ラガス坊ちゃま」
「お疲れ様っす」
「おう。まぁ……やっぱり馬鹿には変わりなかったから、あんまり疲れなかったけどな」
出入り口に戻ると変わらずメリルとシュラが待っていた。
二人共別にセルシア達と一緒に応援席で見ててくれても良かったのに……まぁ、立場上は一番近くで俺が戦ってるのを見るべきなのか?
「それで、やはり真っ黒でしたか?」
「あぁ、超真っ黒だったよ。隠蔽付きの魔道具は使っていなかったけど、強化魔法の付与と薬物を使ってた」
「それは・・・・・・かなり屑ですね」
「同意だな、というか、それだけやってラガスさんに碌にダメージを与えられず負けたってのを考えると、元が大したことなかったんっすね」
シュラの言う通りだな。
実力が生徒の中ではそこそこ上だったとしても、それは魔法の腕を込みにしての話だろう。
なのに慣れてない素手で戦うなんて・・・・・・本当にマジで馬鹿過ぎる。
まぁ、ヤークチュ・ドークが魔法で戦ったとしても結果は変わらなかった。
あいつが魔法の詠唱を完成させるより先に俺の魔弾か拳が届く訳だし。
「これで、ラガス坊ちゃまの出場は確定ですね」
「そうだな」
ダブルスに関しては元々無条件で出場する事になってる。
俺とセルシアが戦闘に特化しているという事もあっての裁量らしい。
そして団体戦は……多分出ることになると思うけど、そちらはまだ完全には決まっていない。
「でも、大会に出てもラガスさんを満足させる奴なんてそうそういないんじゃないですか? 学年が上がれば少しは面白そうな相手がいるかもしれないっすけど」
「そんなことは……あり得るかもな」
同学年の奴らではそこまで良い勝負が出来る相手はいないだろう。
セルシアは最近強くなってきているけど、それでもまだメリルやシュラには及ばない。
学年が上の人達と戦ったことがある訳じゃ無いけど、もしかしたらある程度戦える人が二年生や三年生にはいるかもしれないな。
「ですがラガス坊ちゃま、団体戦に出場するとなると納得出来ない生徒から決闘を申し込まれるらしいですよ。特にラガス坊ちゃまは一年生ですので上級生からそういった指名があるかもしれません。もちろん、拒否権はありますが」
「マジでか。それは知らなかったな」
スポーツで言えばスタメンの座を一年生に奪われたようなもんだし、納得がいかない二年生や三年生がいるのはおかしな話じゃ無いか。
拒否権があるならその決闘を受ける必要は無いけど……一応ニ、三人は倒しておいた方が鎮火出来るかもな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます