大会で会えたら

「やめろ、お前らが戦っても意味が無い」


ちょっと俺様系の男子だな。

でも、鑑定を使わなくても大体解かる。


その他の雑魚四人より頭一つ抜けてるな。


「悪かったな、馬鹿共が迷惑を掛けた」


「俺は別にどうでも良い。けど、こっちの令嬢達にとってはマジで迷惑だったんだ。きっちり謝って貰おうか」


俺に喧嘩を売って来ても、メリルとザハークにルーフェイスがいるんだ。殆どは返り討ちに出来る。

でも、セルシア達だけだと不味い状況になっていたかもしれない。


「……そうだな、お前ら! きっちり頭下げろ」


「なっ、なんで俺らが「選考から除外されても良いなら好きにしろ。これ以上事が大きくなれば、学園の方に必ず連絡が行くだろう」……わ、分かった。め、迷惑を掛けて、すいませんでした」


「「「す、すいませんでした」」」


ふ、ふふふ。すっごい渋々って言った表情だな。


「どうするんだ、セルシア?」


「……私は、実害は無かったから、別に構わない。でも、みんなはどう?」


さて、連中は渋々といった表情だが謝った。

でも迷惑を被った令嬢達が許すかどうかはまた話は別だ。


「せ、セルシアさんが許すなら構いませんけど」


「わ、私も同じです」


セルシアが許すから自分達も許す、か。

二人の令嬢が心の中でどう思っているのか解らないけど、こういった場面で自分の意見を言わないってのはストレスになるんじゃないか?


まっ、今の状況から話が拗れないのは有難いけど。


「そういう訳だ。ちなみに、俺とセルシアはシングルの選抜を受けている。お互い大会に出場したなら、そん時はリングの上で文句は聞くぞ。なっ」


「うん。いくらでも、聞いてあげる。聞く間もなく、終わるかもしれない、けどね」


おっ、セルシアも中々煽っていくな。

はっはっは、バレウスの連中の顔に血管が浮き出てる。

俺もあんまり高くは無いけど、煽り耐性マジ低いな。


「あっ、今日みたいに問題起こして出場白紙とかダサい真似はするなよ。じゃあな」


「あぁ……必ず大会に出る。その時にまた会おう」


バレウス学園のレベルがどれ程のものなのかは知らないけど、多分出場してくるだろうな。


「あ、あの。助けていただいてありがとうございます!!」


「ほ、本当に助かりました!!!」


「気にしなくて良いよ。そもそもあの場に現れたのが俺だけだったら向こうが大人しく引き下がったか分からない。メリルやシュラ、ルーフェイスがいたからこそあいつらは大人しく下がった」


特にルーフェイスとシュラがいたのは大きいだろう。

威圧感のあるシュラにモンスターであるルーフェイス。


「というか、メイドや執事抜きでゆっくり遊びたいって気持ちは解らなくも無いけど、せめて少し離れたところから付いてきてもらった方が良かったんじゃないか?」


「……そうだね。今度からもう少し、気を付けて遊ぶ」


常に一緒に居たら少し息苦しく感じるかもしれないけど、令嬢達は令嬢達同士で行動して従者達は従者達同士で少し離れたところから自分の主人を追っていれば何かあっても問題は無い……と思う。


「あら、ラガス坊ちゃまは私達と行動してると息苦しいと感じてたんですか?」


「おい、メリル。分かっててからかってるだろ」


はぁーーー、俺が本当にガキだったら普通に慌ててる自信があるぞ。


「ねぇ、ラガス。よかったら……私達と一緒に、歩かない?」


「俺は……別に構わないけど」


二人の令嬢は、大丈夫なんだな。

俺達が離れた後にまたさっきみたいな状況にならないと否定は出来ないし。ボディーガードって意味も含めて一緒に歩くか。


SIDE ライオット


「ライオット、なんであんなひょろそうな奴相手から逃げたんだよ」


「阿呆、セルシア・ロウレットのパートナーがひょろくても鬼人族の執事とブラックウルフがいたんだぞ、もう少し状況を見ろ」


「うっ、すまねぇ」


たくっ、謝るなら最初から無謀な挑戦は止めろって話だ。

そもそも俺らがセルシア・ロウレットと立場的な意味で大きく不利なんだ。


万が一誘いに乗ってお茶でもって流れになるならそれはそれで良かったが、こいつら本当に考え無しだからな。


「自分の力に自信を持つのが悪いとは言わねぇけど、もう少し相手の実力を見極める目を身に付けろ。今回は偶々向こうが許してくれたが、躊躇が無い連中なら今頃ベットの上だったかもしれないんだ」


それに……セルシア・ロウレットのパートナーであるあの男、得体が知れなかった。

見た目だけなら確かに実力があるようには思えないが、雰囲気から強いのか弱いのか読ませない。


そんなオーラを発していた。


「チッ、そう簡単に進めないみたいだな」

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