危機察知
お互いに構えたまま動かずに時間が流れる。
そして先に痺れを切らしたアリクが駆け出し、攻撃を仕掛けてきた。
「ハッ!!!!!」
予想していた通り、アリクが繰り出してきた技は突き。
しかしただの突きでは無く、三連突きという剣術スキルにから習得出来る技。
それを縦に放ってきたので半身になって躱そうと思った。
しかしアリクが三連突きを放ってきた位置と俺との距離に違和感を感じる。
これは半身になって避けない方が良さそうだな。
左足で地面を蹴って緊急回避。
俺の感は当たり、アリクは縦の三連突きを繰り出した後、即座に横の三連突きを繰り出してきた。
「たくっ、お前には未来でも見えてんのかよ」
「流石にそんなアビリティは持っていないぞ。ただ単に、勘で避けただけだ」
嫌な予感ってのは結構当たるものだからな。
「それじゃ、今度は俺の番だな!!!」
「いいや、まだ俺の番だ!!!!」
お互いの長剣がぶつかり、鍔迫り合いの状態になるが間髪入れず俺の左ボディが決まる。
「ん、なろッ!!!」
「っと、狙いが甘いんじゃないのか」
ボディに耐えて蹴りを繰り出してきたのには驚いたが、それでも俺を捉える程速くはない。
「まだまだこっからだッ!!」
チッ、少しギアが上がったか。
もしかして脚力強化か速度強化のアビリティでも習得しているのか?
まだ捌けるし目で終えているが、このまま続けさせていると回転力が影響してますます速くなりそうだ。
こいつはある程度魔法も使えるタイプの前衛だから魔力量もサルネ先輩と比べて多い。
まだまだ魔闘気は使えそうだし……もう少し手を加えるか。
とは言っても、アビリティを使うつもりは無いけどな。
「ッ!!!」
「どうしたアリク、一気に距離を取ったな」
「お前がその指の形を構えるってのはかなり緊張感があるからな。それにあのジーク・ナーガルスを倒したのもその技だろ」
技と言うには少し大袈裟だ。ちょっと体に当てる場所を考えて撃っただけだからな。
「そう身構えてると……後ろからやられるかもしれないぞ」
銃と剣を合わせて戦うから銃剣法? とでも名付けておくか。
「今度こそ、俺の番だ」
左手から魔弾を放ち、右手の長剣で相手をぶった斬る。
長剣でぶった斬る際には予備動作がいるが、魔弾を撃つ際に予備動作は必要無い。
「防戦一方のままで良いのか?」
「お前の手数の多さを考えやが、れッ!!!」
斬撃に弾丸、跳弾も含めれば同時に三方向からの攻撃。
まっ、アリクを間違って大怪我させないようにギリギリで攻撃しているけど、本当に良く躱すし防ぐな。
もしかしてサルネ先輩と模擬戦してた時は惚れた相手だからって事で無意識にブレーキでも掛けてたのか?
「まだ、終わりじゃねぇーーよッ!!!!!」
「ハッ、そうみたいだな」
長剣に火の魔力まで纏わせてきやがった。
こっちの長剣も魔闘気で固めないと使い物にならなくなりそうだ。
このままいけばアリクの魔力が先にガス欠になって俺の勝ちだろうけど……それはそれでつまらない。
「三連弾」
「ッ!!!!!」
三連突きの魔弾バージョンって感じで撃ったんだが、見事に躱しやがった。
でも、その表情を見る限り余裕は無さそうだ。
「ホッとするのがちょっと早かったな」
「のあっ!!!???」
最後の最後で跳弾って攻撃手段を忘れてたみたいだな。
やっぱり強くなったアリクでもいきなり千年殺しは効くか。
「これで、俺の勝ちだな」
「あ、あぁ。俺、の……負けだ。クソッ、やっぱ……お前性格悪いだろ」
「勝負時に関しては良く無いな」
そりゃ使える手札が多いと自然と性格は悪くなるもんじゃないのか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます