容赦無くエグい
「その靴、何足目ですか?」
「わからん、もう二十は超えてるんじゃないか」
俺とメリルはのんびりと毒の制作と魔靴の制作を行っている。
特に何かを造りたいという目的は無く、ただ単に腕が鈍らないように作業を行うだけ。
「メリルこそ、それは何に使う毒だ?」
「短剣の刃や矢の先端に付ける毒です。即効性はありませんが、微力な効果は直ぐに現れます」
「……どんな効果なんだ?」
「体にぶつぶつが現れます。そして最終的には腹痛を起こします。主に女性に有効です」
「だろうな」
やっぱり俺が変なこと教えたのが間違いだったか。
でも、どうせいつか魔弾にどんな能力を込めて撃ったのかバレるしな。
だが何故に女性専用の毒を造ってるんだ?
もしかしてだが……男専用の毒もあったりするのか?
訊いてみるのがちょっと恐ろしいが、一応訊いておこう。
「そういう系の毒って男専用の毒もあるのか?」
「勿論ありますよ。そちらも即効性の物ではありませんが、徐々に髪の毛が抜けていく効果です」
や、やっぱりかーーーー。
予想は出来ていた。というか、俺の呪弾にも同じ能力があるし。
「抜け方がまばらですので気付くのに時間が掛かると思われます。即効性の毒ですと、これぐらいの範囲ですが一気に毛が抜けます」
メリルは指で輪っかをつくって髪が一瞬で抜ける範囲を教えてくれる。
それは……中々に広いんじゃないか?
少なくとも十円ハゲよりは広い。
その広さが剥げてしまうのは結構致命的な気がするんだが。
ま、まぁ上から覗かれなければバレることも無いだろうから問題は……やっぱりある気がする。
「どっちもおっかないな」
「ラガス坊ちゃまの魔弾だって同じような事が出来るじゃないですか。それに効果だって魔弾の方が色々と融通が利くかと」
「それは確かにそうだけど、それでもメリルが造ってる毒は十分に驚異的だ。色んな意味で、な」
体にぶつぶつができる。それは顔の状態を気にする女性にとってはマジで背筋に冷気が走るほど震える状況だろう。
特に貴族の女性にとっては本気で一大事な筈だ。
それに腹痛は絶対に俺の呪弾の効果の一つをパクったよな。
「単に腹痛で少しでも意識を戦いから逸らそうと考えている訳じゃないだろ」
「そうなれば良いなという願望はありますが、ラガス坊ちゃまの言う通り本当の狙いは別にあります。猛烈な便意を感じればそれはもしかしたら腹が下る前兆かと人は思うはずです」
そりゃそうだな。腹が痛いとなればまずは便秘を疑う。
そうでなければ本当に病気かもしれんが。
「それを考えただけで多少なりとも動きが鈍り、戦いを早く終わらせようと考えるあまり、一つ一つの動きが単調になるかと」
「それは確かに戦いやすくなるな。相手はこっちの動き一つ一つに過剰に反応するようになり、尻もちなんて付けば本当はただの腹痛であっても絶望が襲ってくる。俺らにとってはそんな一瞬さえあれば勝負は付く」
「どうですか? 良い毒でしょう」
そんな夜の蝶のような笑みを浮かべるな。
即効性では無いと言っていたが、女性用の毒に関しては遅効性の方が効果が有りそうだな。
腹痛の痛みが強まると共に動きが単調になる。
ただ、そんな毒を学園で使う機会訪れるのか……無いような有るような気がする。
「俺もそういった毒を刃に染み込ませてみるのもありかもしれないな」
「あら、将来はハンターから暗殺者にジョブチェンジですか?」
「そういう意味で言った訳じゃないっつーーの」
確かに魔弾や音魔法に関しては暗殺者向きの能力だが、俺にその期は一切ない。
というか、そもそも俺の性格的に向いてない。
「なら、今後に誰かを消す予定は無いと?」
「・・・・・・さぁ~な。それは俺に喧嘩を売って来た相手次第だろ」
殺らなきゃ俺以外の誰かが殺られるような相手に関しては絶対に潰す。
と思ったが、俺が直接手を下さなくても良いよにあいつらの力を自由に使えるようにしたんだったな。
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