直感が確信に変わる
SIDE レックス
今一年の中で超有名人な二人の生徒の付き添いとして訓練場に向かっている。
もう一人の生徒と執事とメイドも気になるが、一番気になるのはこの二人・・・・・・特に男子生徒のラガス・リゼードだ。
俺が受験に落ちた馬鹿を止めた時にこいつも何かしらの方法で止めようとしていた。
その気配と雰囲気だけで今年の一年の中では頭抜けた実力を持っていると、直感的に解った。
本能的な直感。それは直ぐに確信へと変わる。
侯爵家のジーク・ナーガルスとの摸擬戦。いや、あれは男と男の決闘と呼ぶべきか。
入学する前からその実力の高さは噂で聞いていた、婚約者である努力を怠らない天才なセルシア・ロウレットよりは劣るがそれでもそのセンスと実力は目立つものがある。
そんな期待の新入生であるジーク・ナーガルスをこいつはまるで格下の素人を相手にするように倒してみせた。
不出来ながらも魔闘気の斬撃を放ったナーガルスの才能は本物だ。
それを無傷で耐え、一撃で沈めた。
指先から放った魔力の弾丸。ああいった芸当を出来る者はいる。
魔力の総量が少ない接近戦タイプが遠距離攻撃として扱う。
ただ、あの時の攻撃は打撃に特化したものだった。
あれが全力の攻撃には到底考えられない。
あの戦いが実戦ならば、ジーク・ナーガルスは五秒も経たない内に殺されていた。
そして極めつけはバレント先生の授業での対魔法職の戦い方を実演したこと。
それらを聞けば断言出来る。
こいつは優秀な成績を収めた当時の兄や姉たちよりも実力は上。そしておそらくは今の三年でラガスに敵う奴はいない。
というか・・・・・・もしかしたら教師の中でも一対一の戦いなら負けてしまう人がいてもおかしく無いな。
それはこいつらの訓練内容を見て考えが変わった。
訓練前の準備運動から摸擬戦までの内容が学生レベルじゃない。
ラガスの友達? とその執事とメイドはラガス達が行っている訓練内容の簡易版をやっているが、それでもいきなりやればハードに感じる内容だ。
「なぁ、ラガス。お前らいつもこんな訓練内容をやっているのか?」
「家にいる頃は午前中は同じ事をしてました。そして午後は森の中に入ってモンスターを狩ってましたね。そんな感じで毎日を送ってました」
な、なんつーー日々を送ってんだこいつら。
まだ学校に入学してない貴族の子息が送る日々じゃないだろ。
そんな日々を送ってれば嫌でも強くなるってもんだ。
というか、ラガスやその兄弟達の両親はそれを許可していたって考えると普通じゃないよな。
「あれだろ、別に護衛とかは付けずにだろ」
「そうですね。メリルとシュラは一緒に行動してましたけど、それ以外の面子は・・・・・・従魔であるブラックウルフのルーフェイスとも一緒にモンスターを狩っていましたね」
「あぁーーー、あの体のサイズを変化させる事が出来る珍しいブラックウルフか。見た目の割に大人しいから事務員の人達に人気らしいぞ」
こいつらが授業中の時は事務員、もしくは暇な教師が構っていると聞いた。
「あいつは自分に好意や興味を持っている相手には優しいですからね。ただ、そうじゃない相手には厳しいですけどね」
「主人に似たって訳だな」
「ふふ、確かにそうですね」
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