付き添いの先生

「いやぁーーー、ラガスの圧勝で完勝だったね。もしかして上級生を含めてもラガスに体術で勝てる人はいないんじゃないかな?」


「さぁ、どうだろうな? 俺らが知らないだけで、結構な実力を持つ人がいるかもしれないぞ」


その貴族が今まで取り入れてきた遺伝子にもよるだろうけど、十三で既に大人並みの体格を持つ生徒がいてもおかしくない。

核の差で実力差が開くのは確かだが、個人の腕力や体格が全く関係無いって訳では無い。


それに最上級生なら俺よりも二年長く生きているんだ。

もしかしたらがあっても不思議では無い。


「まっ、執事の中じゃ体術面に関してはシュラが一番じゃないか?」


「ざっと他の執事を見た限りではそうかもしれないっすね。ただ、どんなアビリティを習得しているのかは分からないんで、通常時は自分の方が強くても短時間の間では自分より強い奴がいてもおかしくないかと」


「可能性としては無きにしも非ず、か」


でも、シュラだって腕力を強化するアビリティは習得している訳だし、そんな執事はいないだろ。


「午後の予定は何もありませんが、昼食を終えたら王都の散策にでも行きますか?」


「どうしようか。特に何も考えていなかったからな」


特に行きたい場所は・・・・・・無い訳ではないが、俺にはまだ年齢的に早い場所だろうから却下。

本当に娯楽が少ないから暇過ぎるな。


「ラガス。暇なら、私達一緒に、訓練しない? 勿論、ロックスも、一緒に」


「そうだな。俺としては構わないけど、ロックスはどうだ?」


「僕は大賛成だね。二人から学べる事は多いだろうから。二人も良いよね?」


ロックスの執事とメイドも了承した。

これで計九人で訓練を行うのか。


とりあえず食べ終わったら訓練場の許可を取った方が良いよな?


「訓練場の許可は、私が取る。その方が、都合が良い、と思う」


? 誰が取っても変わらないと思うんだが・・・・・・まぁ、セルシアがそう言うなら何かあるんだろう。

キリアさんとルーンが苦笑いしてるし。


昼食を終え、教員室に入って訓練場の許可を取りに行く。

するとあっさり許可は下りた。しかし一人だけ見張り? の先生が着いて来るらしい。


なんでなんやと思ったが、もしかしたら過去のリンチ事件でも起きたのかと考えれば納得がいく。

というか、この先生どっかで見た事がある気がするんだが・・・・・・思い出せん。


「俺はレックス・ラトナーだ。レックス先生でいいからな」


「うっす、レックス先生。ところで、以前どっかで俺とセルシアとどこかで会った事ありますか?」


「おっ、もしかして俺の事を覚えていたのか? 合格発表の日に自分が不合格になったからって暴れた坊ちゃんを抑えた教師って言えば完全に思い出せるか?」


あぁ~~~、あの時の人か。

そういえばあの坊ちゃん貴族はあの後どうなったんだろうな?


不合格になったからってその場で暴れたりしたらその話は直ぐに横に縦に伝わるだろうし、もしかして家を追い出されたとかワンチャンあるか?


「はい、思い出しました。ドラゴンの威を借りようとしているゴブリンが急に縮こまって最高でした」


「なっはっはっは!!! 確かにそうかもしれんが、良い性格してるなラガスは」


「本人は特に凄くないのに調子に乗ってる姿って、普通にウザくないですか?」


これって結構常識だと思うんだが、もしかして間違ってるか?

爵位の高い貴族がある程度強いのはある程度良い教育を受けてるから当たり前の結果だっつーのに。


「お前本当にズバッと言うな」


「俺の従者や執事もズバッと言うタイプなんで、それが移ったのかもしれませんね」


相手の立場関係無しに上等な態度取るもんな。

実際に手は出してないけど、ぶっちゃけ心臓ドキドキバクバクもんだよ。


「ラガス坊ちゃまには言われたくないかと」


「俺はバレないように対処するから良いんだよ」


まっ、その辺はメリルも一緒か。

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