両親より上の
バレント先生との話が終わり、教室へと移動して中に入ると一回俺に視線が集まった。
しかし直ぐに視線は外れ、同級生たちは友人達との会話に戻る。
「何を、話してたの?」
「色々と。とりあえず授業を受けるのは構わないってさ」
「そう。それは、良かった」
うん、良かった。でも、俺は全く関係無い生徒達から恨まれる対象になりそうだけどな。
「お前ら、そろそろ授業が始まるから自分の席に戻れよ」
担任のバッカス先生がやって来たことで全員が自分の席に戻り、声も徐々に小さくなる。
これから三限分、つまらない勉強が始まる。
時間は六十分程度だが、興味が無い俺には苦痛でしかない。
ただ、授業をある程度聞いておかないとテストで赤点を取ってしまうからな。
補修は勘弁だ。
内容は主に歴史、社交界でのルールや戦い方。社交界での戦い方に関しては物理的な話では無く話術的な意味での戦い方。
そして軍略。これに関してはほぼほぼ受ける意味が無い気がするが、国上の方々の身の回りで起きた件で戦争にまで発展するかもしれない。
もしくはモンスターの大量発生、もしくは道中で襲われた時の対処法等を教わる。
軍略に関しては覚えたところで使う機会が無さそうだ。
そもそも俺はカロウス兄さんの様な遊撃タイプだからな。
他の奴らと足並みそろえて攻撃とか性に合わない。
そんな授業を聞いたところで次は選択授業を受ける。
そんで次は早速魔法科の授業で、バレント先生の授業だ。
そして三限目が終われば同じく授業を受けていたメリルとシュラと合流。
「ラガス坊ちゃま、眼が死んでいますよ」
「だろうな。やっぱ座学はつまらんな」
軍略とか、そういう内容に関しては知識として知っているのと知らないのでは確かに違うかもしれんが、実際に動けなければ話しいならない。
それはバッカス先生も解っているとは思うけど、先生だから仕方なく教えてるって感じかな。
「魔法科の授業、だね。ちょっとは、楽しみ?」
「そうだなぁ・・・・・・今回だけはちょっとテンションが低いかもな」
「? もしかして、魔法科の先生に、面倒事を押し付けられた、の?」
「面倒事というか、嫌われ役かな?」
バッカス先生が考えている事は納得出来るけどなぁ。
先生に負ければ、それは経験や実力に知識の差だと良い訳が出来る。
でも同学年の俺に負ければ自身のプライド的に仕方ないで許す事が出来ない。
「まっ、授業が始まれば解るよ」
休み時間の間に指定されている教室に移り、バレント先生が来るのを待つ。
選択授業は一クラスだけでなく、複数のクラスの生徒が一緒に受ける。
人数はざっと五十人弱か。
相変わらず多種多様な視線を向けられる。
ただ、今回は嘲笑と困惑の感情を含んだ視線が多い。
まっ、公の場で基本属性の魔法アビリティを習得していないって宣言したんだから当たり前か。
だがそんな状況でも俺に話しかけてくる奴いつもと同じ。
「ラガスも魔法科に興味があったんだね」
「まぁ、そうだな。俺は使えないが、どんな攻撃があるのか知っておいて損は無いだろ。詠唱が解ればどういった攻撃が来るのか予想出来るしな」
「ははは。それが解ったところで、簡単には対処できないと思うんだけど」
「実戦を積めばなんとかなるぞ」
ロックスはいつも通り話しかけてくれる。
というか、さっき以上に俺へ向かっている敵意の視線が強くなったな。
気持ちは、まぁ・・・・・・解らんくもない。
でも間違った事は言ってないしな。
「全員揃っているみたいだな」
おっ、ようやくバレント先生が来た。
朝会った時と変わらずだらしない格好だ。
でも、生徒達がバレント先生を見る目に侮りが無い。
もしかして結構有名な先生なのか?
「俺の名はサックス・バレントだ。まっ、お前らの顔を見る限り大半の奴らは俺の事を親や兄弟から聞いているみたいだな。そんじゃ、早速だが訓練場に行くぞ。付いて来い」
親御さんまで知ってるって、バレント先生マジで有名な先生なのか?
「ラガスは、バレント先生のこと、知らないの?」
「あぁ、知らな。姉さんから聞いていた情報には無かったからな」
主に俺が面倒だと感じる上級生の情報は色々と貰ったが、先生に関する情報は無かった。
もしかしてこの学園には屑みたいなプライドを持っている教師はいない感じか?
「元ゴールドランクのハンター、らしいよ」
「・・・・・・マジでか。そりゃ名が知れてる訳だ」
ハンターのランクでトップはプラチナ。だが世界に殆ど存在しないので実質ゴールドランクがハンターの中では最上位に位置する。
強いとは思っていたが、まさかの元ゴールドランクのハンターだったとは。
「ラガス坊ちゃまでも驚かれるのですね」
「俺だって驚く事はある。というか、今回に関しては驚かざるを得ない」
こりゃプライドが凝り固まった貴族の子供には丁度良い先生だ。
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