あいつは気にしない

さて、どうやって倒すか。


学園で魔弾の基本能力は使うつもりだが、それ以外はどうしようか。

入学試験の実技では長剣を使ってたから長剣はとりあえず使ってみるか。


「やぁ、入学初日から随分と大きな面倒事に絡まれているね」


「他人事だと思って気楽そうだな、ロックス」


「そりゃ他人事だからね。でも、ラガスなら例えナーガルスが相手だったとしても、負けはしないでしょう」


こいつもセルシアと同様に俺が負けるとは一ミリも思ってなさそうだな。

信じてくれてるのは嬉しいが、あんまり大きな声で言わないで欲しいもんだ。


「でも、なんか表情が暗いね。調子が悪いのかい?」


「いや、そうじゃない。どうやって戦えば良いか考えてるだけだ」


「・・・・・・なるほど。君は手札が多そうだから人前で戦うのも苦労しそうだね」


ちょっと喋り過ぎたか? 


でも、こいつとは長い付き合いになりそうだし、そこら辺は多少話していても大丈夫か。


「まぁ、想像に任せるよ」


「勝手に想像させて貰うよ。それにしても、あのセルシア・ロウレットとパートナーになれるなんて運が良いね。それとも、結構前から仲が良かった?」


「そこら辺は俺じゃなくてセルシアに聞いてくれ。勝手に話していいのか分からんからな」


「そっか。でも、僕じゃちょっと近寄り難いというか」


あーー、やっぱり普通はそういう感じか。

でもセルシアの場合は下心を持った奴じゃない限り嫌な顔はしないと思うけどな。


それに、俺の友達って感じなら別に警戒したりはしないとも思うんだが・・・・・・やっぱり少し警戒するか?


「気にする必要は無いぞ。同じクラスならいずれ喋る機会もあるんだし、早いとこ慣れておけ」


「ははは、ラガスは誰とでも仲良くなれそうだね」


「そりゃ無理な話だ。俺にだって好き嫌いはあるからな。んじゃ、とりあえず戦ってくる」


訓練場の出入り口でロックスと別れ、ジークと審判が待つ場所へと向かう。

というか、何故にこんな戦いの準備がスムーズに進んだのか謎だが、今は気にせず戦おう。


「よく逃げずに来たね」


「別に逃げる理由が無いからな。それに、あいつのパートナーとして逃げる訳にはいかないでしょ」


別に煽ったつもりのセリフでは無かったのだが、結果として煽ってしまったらしく、ジークの表情に青筋が浮かんだ。


審判役の教師はこちらを見ながらやるなこいつって表情をしていた。


「さて、これから決闘を行うんだが、決着はどちらかが気絶したら、あとは俺が戦闘続行は不可能と判断したらそこで終了だ」


「わかりました」


「りょーかいです」


さて、向こうは長剣でこっちも長剣。

得物のクロスレンジは変わらない。


「それじゃあ・・・・・・始め!!!!!」


「シッ!!!!」


おっと、いきなり突っ込んできやがった。

確か前にセルシアと戦っていた時はレイピア? で戦ってた気がするんだが、長剣も使える派か。


にしても随分と攻撃が見た目に似合わず荒いな。

前は途中から荒くなってたけど、序盤は冷静に攻撃していた気がするんだけど。


今日は、婚約者が婚約者ではなくなったんだから、心が乱れても仕方ないか。


「随分と、鼻息が荒いぞ。せっかくのイケメンフェイスが台無しだぞ」


身長はややジークの方が大きいが、腕力は俺の方が上。

タイミングを合わせて剣を振り、ジークの動きを止める。


んで、空いた腹に掌底をぶち込む!!!


「がはッ!!!!????」


おっ! 手加減しているとはいえ、もう少し吹っ飛ぶとは思ったんだがな。

やっぱりそこら辺はきっちり鍛えてるって訳か。


「ちょっとは落ち着いたか?」


「・・・・・・礼は言わないぞ」


「欲しく無いから言わなくて結構だ」


これで少しは繊細さが入るか?

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